第9話 書籍化作家=プロの小説家?
Web小説サイトでしか(或いは『界隈』のSNS)でしか聞かない謎の言葉
【書籍化作家】
むかしむかし、本が本屋でよく売れていた時代。旅行中のキオスクで文庫本を買い列車内で読むのが当たり前だった時代。
新人賞受賞→出版→原稿依頼→安定した執筆活動→肩書きは当然のように『小説家』
本が売れない現代。デジタルコンテンツは無料という認識からようやく脱却しようとしている。
Web小説サイトで一定の評価を得る、或いはイベントで賞を取る→当該作品の書籍化→小説家デビューを果たす→作家は再び受賞を目指す→肩書きは新語の『書籍化作家』
一般的に、その活動で一定額以上の収入を得る(所得税を納税する)と自信を持って「プロ」と名乗ることができますよね。
私は印税から源泉徴収されている人です。
ですが、確定申告で納税分が返還されます。
デビューはしたけど、プロとは呼びにくい。
そんな私たちに付けられた便利な言葉。書籍化作家。
はっきり言って、いやです。そりゃそうです。中途半端ですもの。
これまで何度「あー、Web小説サイトの賞じゃなくて〇〇新人賞を最初に獲りたかった」と思ったことか。
ところが最近、時代がWeb小説に追いついてきたように思いますね。ちゃんと評価され始めたというか。
それはそうでしょう。
出版業界で中核を担う人材が、携帯小説、Web小説に触れてきた世代になってきているのですから。
新感染症の影響で、文学賞の審査がキャンセルされる事態が起きたのも追い風(?)なのかもしれません。
ですので、
「カクヨムの層に私の小説は向いていないと思いますが……」
などと斜めに構えるのはおよしになって、今すぐ読者と真摯に正面からぶつかりなさい。
未来を悲観する前に、やれるだけの努力をしなさい。
自分が納得する労力を注げれば、それでよし、です。
よしっ! です!
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