第1話 神をぶん殴れ(2)
そこは先程までの雨はなく、様々な絵が掛けられていた。いや違う。絵では無い。動いている。これが何なのかは分からないが、目で見た光景がそのまま絵として常に書き換えられているような、そんな不思議な額縁が幾つも掛けられている。額縁の前には何か杭……だろうか?変な四角や丸のものが配置されている。中には赤くてデカいものもある。何やら”危険”と書いてあるように見えるのは気のせいだろうか。
その額縁と杭の前に一人、金髪ロング、八重歯の生えている160cmくらいの白衣の女性が頭を抱えて立っていた。オレの身長は180cmなので、大分見下ろしているような感覚を覚える。
「もう……もうこの世界嫌ぁっ!!何よこれぇ!!ステータスとかスキルとか、そーいうの実装しようとしただけじゃないのよ!!なのになーーーーんでこんなにバカみたいにバグがアレコレ出てくるのよぉ!!」
何の話だろうか。
「アンタのせいよ!!アンタのせいでこんな事になったのよ!!責任取りなさい!!」
「いきなりなんだ。てーかどこだここ。全然分からないからそこの説明からしてくれよ。」
「ああもう面倒臭い。これだから嫌よ現地の原始人と会話するのは。状況一つ分からないんだから。見て何か判断するとかそーいう事は出来ないのかしら。」
こいつ性格悪いな、という事はこの短時間の会話で理解出来た。
「まぁ、その、無知なのは悪いが、仕方ないものとして諦めてくれ。それよりアンタは誰なんだ。」
「くっそーそこからかぁ。そこから説明しないとダメかー?ハァー、人間ってはこれだから困るのよねぇ。大体何よドミネアって。男神って、アタシの事を何だと思ってるのよホント。ねぇ!?」
「だから知らねえっつってんだろ誰だよお前いきなりベラベラ喋りやがって。」
こう無視された挙句、嫌味の一つや二つや三つピーチクパーチク言われると段々腹が立ってくるわけで、オレの言い方も徐々にキツくなっていった。
「アタシはストレア・ド・レミニータ。この世界の神よ。」
「……神?」
「ええ。敬っていいわよ。さあ。」
彼女は胸を張った。本当らしい。
オレは思い切り拳を振りかぶり、眼前の女の頬にぶつけた。女は「ぐふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」と叫びながら宙を舞い、幾つもの額縁を突き抜けて何処かへ飛んでいった。
ジョセフの言葉を思い出して、思わず手が出てしまった。神なんて言うのが悪い。それにしてもこの威力というか、これは何だ。幾ら本気で殴ったといっても、何処まで飛んでいくんだ。
「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!」
数刻の後、別の額縁から女が出てきた。
女は目の前の地面に頭から墜落した。特に傷はない。頑丈らしい。
地面といったが、正確にはなんだかよく分からない。足が着いているので地面だろうと思うのだが、真っ黒で、なんだか下に青や赤の球体が見える。色がなく凸凹したものも見える。一見して浮いているように見えるので、なんだか気持ちが悪い。浮遊感というのか、そういうのが襲ってきた。
「殺す気か!!」
自称神の女が頭を持ち上げて言った。
「うん。」
だが髪の毛が爆発したカップケーキのようになっているだけで済んでいる辺り、こいつは殺しても殺せなさそうだというのは理解出来た。
「ああ、って、平然とまぁ言うわねアンタ。最近の人類恐ろしいわ。親の顔が見てみたいわ。あ、アタシか。アッハハハハハハハブゥ。」
親が死ぬ原因を作り出した神が笑っているという事と、その笑い方がなんだかウザいので、吹き飛ばない程度に加減して拳を打ち込むと、彼女の顔が干した果物のように凹んだ。
「ほがががが、ほげががががががが、ほぶぇがががががががが。(すみません、調子に乗らないので、殴るのはやめてください。)」
何言っているのか分からないが、何となく殴らないでくれと言ってそうなので止める事にした。
「で、神って本当なのか。」
「まぁ、うん。アンタのその巫山戯たステータスで殴っても死なない辺りで察して欲しいんだけど、本物の神様よ。」
「それは、確かに。でもオレ、ストレアなんて神聞いたことないぞ?」
この世界に神は一人、ドミネアと呼ばれる男神が一柱いて、彼が天地の全てを作り出したと、昔通った学校で言っていた。彼が人を数字で評価出来るようにした張本人だと思っていたので、オレはずっとそいつのことを憎んでいたし、昨日のジョセフの言葉もあってぶん殴りたいと思っていたのだが、このストレアという自称神はそのドミネアと似ても似つかない風貌をしていた。
「くぁぁぁっ、憎たらしいわぁ。それもきっとバグよバグ。もうこの世界どーしよーもない程バグってるわぁ。なーんでアタシの事がそんな男みたいに伝わってるのよ。しかも何?『全ての命を等しく愛する我らが創造神』?反吐が出るわぁそんなの。ああ嫌だ嫌だ。」
彼女は吐き捨てるように言った。これが神か。オレが思っていた以上に醜悪に見える。
「あ、今「なんだこの屑」って思ったでしょ。」
「…………思ってない。」
「嘘つきなさいな顔に出てるわよこの人間風情が。アタシは神!!創造神!!この世界の謂わば支配者!!崇め奉りなさいよ!!もっと!!激しく!!褒めて褒めて褒め称えるべきなのよぉーッ!!」
彼女は両手を大きく広げて尊大かつ雄大な自己主張を叫んだ。
「とりあえず殴っていいか?」
拳を握ってそう言うと、彼女は揉み手をしながらこちらに擦り寄ってきた。
「勘弁して下さいよ旦那……。ヘヘヘ、旦那にゃ敵いませんなぁ。いや素晴らしいステータスですわ、ホンマ。それにその」
「誰が旦那だ。そしてそういう胡麻擂りは嫌いだ。とにかく、百万歩譲ってアンタが神だとしよう。それで結局、何処なんだここ。突然連れてきて何の用なんだ。オレのステータスはどうなってるんだ。」
「いきなり幾つも聞かれても困るわよ。まぁいいわ。順を追って説明してあげましょ。」
そういうと彼女は再びパチンと指を弾いた。すると先程彼女が吹っ飛んだ時に真っ黒になった額縁が、再び動き出した。
「ここは神の間。宇宙空間の一部を切り取って作ったモニタールームよ。」
「ーーーーーーう、ちゅ、う?もにたあ、るーむ?」
「ああそっか、アンタのところの前提知識だと、地球で言うと中世レベルの文化しかまだ無いんだっけ。おっくれてるわねぇぇぇぇぇぇぇぇ。ふへっへっへっへっへっ。」
何を言っているのかは分からないが、バカにされているのは分かった。オレが拳を握ると、彼女は背筋をピンとしてそのニヤケ面を止めた。
「と、ともかく、ここは神の住む場所、という程度に理解してくれればいいわ。次。ここに連れてきた理由は一つ。アンタのバグを何とかするためよ。無駄みたいだけど。バグってのは……そうね、この世界の理を乱す物、とでも言えばいいかしら?」
「こと、わり。」
「そう。理。ルール。別にアンタ達が勝手に決めてる「命のストック」だの「ステータスが低いと屑」みたいな現地ルールじゃないわよ。もっと大きな、世界全体のルール。これが乱れると、アンタのその狂ったステータスみたいになるの。元々アンタはステータス表示にバグがあって、自分のステータスと表示ステータスが一致しないってバグを抱えていたみたい。最近多いのよね、そういうの。それが、理由は分からないけど、さっき命を捧げた時にライフが負のオーバーフローを起こして、ああ負のオーバーフローってわかる?0より小さくなる事で逆に最大値を取っちゃうとかそういう奴よ。分からない?あっそう。でもアタシは気にしなーい。そういうの全部ペラペラ喋るだけー。それに伴ってステータスもぜーーーーーんぶ負のオーバーフローで本来取るはずのない変数そのものの最大値を取ってしまったみたいなの。本来ならステータスとしての最大値は99だから、そこまで丸めれられるはずなのに、その処理も潜り抜けてる。後からその処理を追加したせいでまともに機能してないみたい。ああもうこれは設計段階のミスよ。ホントこんなのがポロポロ見つかるもんだからアタシの白髪は増えるし食費も増えるし体重も増えるし嫌になるわホントもー胃がボロボロだし見てよこのアタシの胸ぺったんこになっちゃったわよまぁこれは元からなんですけどねうぇっへへへへちょっとアンタここは笑っていいところよ無視すんじゃないわよこの爆乳野郎が」
延々と勝手に喋っているのだが、言っている事が全く理解出来ない。とりあえず、オレのステータスが「ばぐ」とやらでおかしくなっているのは分かった。
「……で、その、直るのか。」
彼女は首を横に振った。
「表示バグは直ったけれども、ステータスは弄れない。ステータスに応じた管理者権限の付与が正常に動作しちゃってる。そのせいでアタシですら変更効かなくなってるわ。管理者のステータスを直せるのはその管理者本人だけだから。あーもうなんでこんな作りにしちゃったのかしら。どーせアタシしか居ないからって好き勝手したのが悪かったのかしら。最悪だわあ。アンタみたいなゴミがアタシと同じ高みに登ってくるなんてさぁ。」
「かんりしゃ、けんげん?」
「Ahー、そうねぇ、こう言いましょうか。アンタは人間ではぜっっっっっっっっっったいに有り得ないステータスを持ってしまった。そのせいで、アンタは神様と同じ扱いになってる。理由は詳しく分からない。でもそうなっちゃった。ここまではOK?」
「あ、ああ。……オレが、神。」
「アタシと一緒。お揃いねアタシ達。」
ストレアは嫌味な笑みを浮かべた。そう言われると凄く嫌な気分になった。この数刻の間にこいつのことは何となく理解出来た。屑。人でなし。神だからなのだろうか。傲慢で腐れきった存在だ、という認識を抱いた。そしてそれは正しいのだろうという直感があった。これもオレが神と同じ扱いになったせいだろうか。それは知らないが、とりあえずそういう理解だけは出来た。
「あ、一応言っとくけどこれは別にゲームの世界とかそういうのじゃないわよ。現実。至って普通の現実。アタシはマジモンの神様。世界の開発者だから開発者って言ってるだけで、ゲームの開発者とかそーいうんじゃないから、そこんところは勘違いしないようにね。いい?この世界は、ステータス表示!!スキルシステム!!あとライフ制度!!というアタシの画期的なシステムを組み込んだ、リアルな現実世界よ。別宇宙と言ってもいいわ。例えばだけど、アタシと別の神が管理してる地球って星があるけど、そことは物理法則は似通ってるけど、別物。」
「誰に言ってるんだ。」
ストレアは宙空に向かって人差し指を立てて何か話している。
「気にしないの。アンタにゃ関係ないことよ。」
「あ、そ。」
「ともかく。こうなったら本格的にバグ取りに着手するしかないわ。」
「それはつまり、間違っている要素を直すっていう意味か?」
「YES。」
「じゃあこのライフを他人に渡すとかそういう要素を消してくれよ。」
「NO。」
「なんで。」
「それはこの世界の根幹システムだから。言いたい事はわかるわよ。このシステムのせいでアンタみたいなステータスが低い人間が迫害されたりするからって事でしょ?でもね、そんなのアタシとしちゃ知ったこっちゃないのよ。」
「手前が作ったシステムが原因だろうが。」
そう言うと彼女はニヤニヤとニヤケヅラをして言った。
「ふふふふふふふ、言うと思ったけどその答えもNO、違うわ。命の聖杯はまぁ確かに一因かもしれないけれど、結局はこの世界の住人の心の問題よ。ハート。分かる?あれはね、どうしてもっていう人のための救済措置だったの。それを、この世界の住人がそんなシステムの悪用方法を考えつかなければ、生きている人間の命をストックするなんて残酷な事考えつかなければ、そうはならなかった。アンタがやったみたいに、どうしても助けたい人に命を託す。そんな使い方も出来たはずよ。それに留まらず、命の選別みたいな事を始めたのは何処の誰かしら?」
「……人間達の心が腐ってるからこうなったって言いたいのか。」
「YES。おっと拳を握ったところでこればっかりはアタシも譲歩するつもりは無いわ。これは、アンタ達、人間共のせい。お分かり?」
オレは握った拳を開いた。
「……それは、そう、かもな。」
ストレアはニタリと嗤った。
「でっしょぉぉぉぉぉ?」
腹の立つ笑顔であった。俯くオレにわざわざ視線を合わせてきた。さっきから細かくちょこちょことオーバーなリアクションを取りながらオレを挑発してくるコイツは、本当に苛立たせるのだけは得意なのだなと思う。
「だからアタシに責任はないのぉ。でも、流石にアンタのステータスのバグみたいなのはまぁ、その、アタシの、責任が、……五割くらいはあるかな?みたいな。」
「十割だろこの野郎。」
「うっさいわね。アンタみたいなのが生まれてきたのが悪……いや、ゴメン、今のはちょっと、悪かったから拳下ろして。」
オレが気にしている事を平気で触れていく眼前の女に更に苛立ちが募る。オレは怒りを抑えつつ拳を納めた。
「そ、それで、仕方ないから、地道に一つずつバグを消していく事にしたの。今。」
「今更かというのはあるが、いいんじゃないか。」
「でしょ。だからアンタも手伝ってよ。」
「……なんで。」
「アンタも今は管理者なの。この世界の神の一人になっちゃったのよ。だから神としてこの世界に責任があるの。」
無茶苦茶な論理だ。
「こんな世界に責任なんて持ちたくない。この世界を一からリセットしてもいいくらいだ。」
「おおナイスアイデア。作り直した方がいいかもね。あーでも、それはアタシの負担が死ぬほど増えるから嫌ー。」
いっそ死ね。だが少し気になる。
「……具体的にバグを取るってどうやるんだ。」
「試してみる?」
「いや、別に、ちょっと気になっただけ、だけど。」
「いいのよいいのよ。一度やってみましょう。スッキリするわよ。そしたら何か気分も変わるかもしれないじゃない。」
まあ先程からコイツと話したりギルマスと話したり神父の屑と話したりコイツと話したり、いろいろと精神的な疲れが溜まっている気はした。スッキリするという事なら、ちょっと試してみてもいいかもしれない。
そんな心境の変化を読み取ってか否か、ストレアは何やら箱の中をゴソゴソと漁り出した。
「これ、着けて。」
そう言ってストレアは、箱の中から取り出したグローブを差し出してきた。クリスタルの装飾が手の面側に付き、そこから指に光る線が誂えてある派手なものであった。
「何これ。」
言われるがままにそれを身に着けながら尋ねる。
「グローブ。」
「それはまあ、見りゃわかる。これをどう使うって言うんだってのを聞きたいんだよ。これでバグを潰すって?物理的にプチッと?まさかぁ。」
「そう、そのまさかよ。」
「は?」
「この世界に潜む様々なバグ。それをアタシは神としての力を用いる事で具現化させる事が出来るの。凄いでしょう。」
彼女は無い胸を張った。まあ、それは確かに凄い、のかもしれない。要するに存在しないはずのものを形にするという事だろう。多分。イマイチピンと来ないが、それが普通の人間には実現困難であろうという事は理解出来た。
「そのためには、そのバグが一体どんなバグなのか?を理解する必要がある。そうすればバグの根深さ、複雑さに応じたバグが異形の怪物として具現化するの。」
「なんで異形の怪物にする必要があるんだ。何か他に方法無いのか。」
「プログラムならバグの調査とソースコードの修正で済むんだけどね。」
「そおす、こおど。」
「ああもう、これだから中世で知識が止まっている低知能の猿に毛が生えた程度の脳味噌しか無い野蛮人は困るわあ。」
ウダウダと煩い奴だ。
「そうねえ、この時代で例えるのが難しいんだけどねえ。例えば甲冑。あれをメンテナンス…メンテナンスは分かりまちゅかぁぁぁぁぁぁぁゔげ」
「なんと無く分かりますよ先生。」
にやけた面でオレの眼前で煽ってきた神様の顔面に、出来る限りの笑みを浮かべたオレの拳がめり込んだ。
「ぞればざいばいでず(それは幸いです)。……とにかくね、メンテナンスする時は一旦分解したり、パーツを取り換えたりするでしょ?ああいうもんだと思ってくれれば、そこまで間違っちゃいないわ。でもね。世界の理、ルールのバグとなったら話は別。全部バラバラに分解して直すなんて、幾らアタシが全知全能完全無欠絶対無敵元気爆発熱血最強完全勝利の神とはいえ、相当の時間が掛かる。アンタが言った通り、一から組み直した方がいいレベルよ。」
「肩書きが長いよ。」
彼女は無視した。
「勿論どの世界にもこの手のバグってのはあるもんよ。……まぁ、アタシの世界の場合、ちょっと多すぎるかな?みたいなとこはなくは無いけど。まぁいいのよ。」
「良くはないだろ。」
「今はそれは置いておきましょう。とにかく。そういう時のために用意されている神の権能。それがこれ、デバグライザーよ。」
そう言って彼女が取り出したのは、何やら魔術めいた装置だった。見たことのない金属で、線やら板やら、何か押すための杭のようなものやら、変なものがいっぱいであった。
「何その杭。」
オレがそう漏らすと、ストレアは爆笑した。
「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ杭、杭ですって!!ボタンが!!杭!!うっはぁ古代人はこれだから困る……いえ、その、ボタンと言うので覚えておいてくださいね、レイ様。」
事あるごとにバカにしてくる辺りに、この女の性根の悪さというものが透けて見えるというものである。もはや透けているというよりあからさまというか。
「バグの内容を叫びながらバグに対して翳して、このボタンを押せば、そのバグが具現化する。それでそのグローブ、バグブレイカーを装着してぶん殴ってバグを倒せば、バグを処理することが出来る、という寸法よ。」
名前が安直すぎる。
「直接直した方が早いんじゃないか?」
「さっきも言ったけど根深いバグになると物凄く複雑怪奇になっていくの。これを使えば、少なくとも対象の事象だけは無理矢理直すことが出来る。管理者になっちゃったアンタ自身にゃ使えないのが難点ね。でもま、とりあえずの対処策としては十分優秀よ。」
「とりあえずの対処策っていうことは、他の方法もあるんだろ?」
「アタシの世界は完璧なはずだったからね、そういうの用意してないのよ。用意するのも時間かかるしめんどいしぃ、とりあえず目先の対処だけ進めておけばいいのよ。アタシの気に食わないバグだけをね。」
こいつは本当に屑だな。
「はあ。まあ、とりあえずこれを使えば、目先のバグは取り除けると。そういうことか。」
「YEEEEEEESッ。でも気をつけて。バグはそれが根深ければ根深い程強いから。アンタのアホみたいなステータスなら大丈夫だろうけど、他の人には害悪そのものだから。」
まぁ今まで80あれば伝説と言われていたステータスが、わけのわからない数値になっているんだから、オレは大丈夫だろう、多分。
「しかし、何かまどろっこいな。」
元を正せばこいつのせいだというのに、肝心な手を動かす部分をオレに任せようとしているのではないか?そんな疑念が頭を過ぎる。
だが奴の言うバグ。世界の理。それを崩せるならそれは面白いなと思った。ジョセフの遺言は神をぶん殴る事。それは諦めから来るものだった。世界をたった一人で変える事なんて出来ない。だが今のオレなら出来るかもしれない。
……どうしよう、かな。
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