幕間・1 起き上がった女
雨の中、黒髪のポニーテールの女性が一人立ち上がる。
「ここは……?なんで私は、ここに……?」
辺りには誰も居ない。近くには崖があったが、その上にも誰もいない。
「しっかしさっきの女、熊を素手で倒してたけど、あのステータスでどうやったんだろうな。」
「手品師として雇っても良かったんじゃないの?」
「バカ、あのINTでまともなネタ作れるわけねえだろ。多分誰かの入れ知恵だろ。」
「違いないわね。」
ギルドマスターと副マスターが、雨の中話をしながら村外れの倉庫へと向かっていた。それを目に留めた女性は、そちらの方へと近く。
「ん?」
「見ない顔ね。」
「あの、私、その、なんでここに居るんでしょうか?」
それを聞いたギルドマスターと副マスターは顔を見合わせた。そして何と無く確認しようとステータスを開いて驚愕した。
LIFE: 2
STR: 88
INT: 88
DEX: 88
VIT: 88
AGI: 88
LUC: 88
SP: 0
全てがほぼほぼ有り得ない数値であった。特にライフは通常人間が取り得る値では無い。それにそれ以外のステータスも、その道の到達点と言える達人が至るステータスであった。
「こ、こんな、こんなガキが…!?」
ギルドマスターの叫びを副マスターが口を抑えて止めた。
「しっ、聞こえたらどうするの!!」
ステータスが物を言うこの国、この世界で、ステータスが高い人間に何か口出すをする等烏滸がましいにも程がある行為。下手に怒りを買えば殺されても文句も抵抗も出来ないであろう。
ギルドマスターも自分の失言に気づき、彼女の方に作り笑いを浮かべながら顔を向けた。
だが彼女はキョトンとして、何を言われているのか、何故二人がここまで焦っているのか理解出来ない様子であった。
記憶を無くしているのだろうか。ギルドマスター達はこの不思議な少女を、ともかく教会へと連れていく事にした。教会であれば彼女を保護出来るだろうと考えて。
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