入寮2-3
食事が終わり、キッチンに自分の皿を下げる。皿は洗わなくていいと言われたので、皿のよごれは軽く流し、お茶碗には水をためておく。
こうしておくと洗うときの楽さが全然違うしね。
先に食べ終わっていた花宮さんも同じようにしているようだった。
食器を下げたあとに食堂に戻ると神無と五條さんが同時に食べ終っていた。五條さんは他の人より遅く来たし、2倍くらいの量を食べていたはずなんだけど。
「ご馳走様でした。神無さんはいつも食べるのゆっくりなんすよね」
爆速で食べ終わった五條さんが神無の頭の上に顎を乗せてぐりぐりしていた。
邪魔といいながら神無は五條さんの顔を両手で挟む。
「むーっ、何するんすか」
「こっちの台詞」
神無と五條さんが言い合いをしているが二人がかもし出している空気は柔らかく仲は良さそうだった。まあこの二人は同級生で丸1年一緒に寮で暮らしてるもんね。
その後部屋に戻り、風呂の時間まで待つことにした。
そういえばお風呂は22時半以降とか姉さんが言ってたな。
今日は疲れたから早く寝たいんだけど、風呂に入る時間が22時半ってことはこれからはずっと寝る時間が23時を越えることになるのかな。まあ前の学校の時は勉強がかなりハードでテスト前は日付をまたぐのが当たり前だったしな。テスト前以外もゲームとかやってるときは結構夜更かししていたけど。
ゲームは男趣味がばれたらまずいと思ってこっちに来る前に全部売っちゃったんだよな。
でもこんなに部屋がしっかりしていてバレなさそうだったら持ってきてもよかったかな。部屋ごとに鍵がついていて入れないようになってるとは思わなかったししょうがないけどね。
積みゲーがまだ結構あったし、もったいないことしたな。
どうせ風呂に入るし、ちょっと化粧の練習でもしてみようかな。
家でも練習したから多分大丈夫だけど、一応確認しておこう。
さっきまではいらないと思ってたから今日はしてこなかったけど、姉さんの話だと、学校では多くの人がしてるらしいし、2年生だったら尚更してる人は多いだろう。
化粧の練習が終わり22時半になったのでお風呂場に向かう。
お風呂場はそこそこ広く寮生全員でも入れそうなくらいの大きさだった。
風呂には湯が張ってあり、ふと我に帰った。これ、さすがに入るわけにはいかないよな。
男だとは気づかれていないが、思春期の女の子としては男に自分の入った風呂には絶対に入ってほしくはないだろう。
これからしばらくはシャワー生活か。まあしょうがないな。浴槽につかりたくなったらちょっと遠出して銭湯とかに行けばいいだろう。
そういえば男用の服は持ってきていないが、その場合はどうすればいいんだろう。この格好で男湯に入ろうとすると番台の人に絶対止められるよな。かといって女性の方に入ると脱いだ瞬間に捕まるよな。
うん、銭湯も諦めよう。
そんなことを考えながらウィッグと偽造胸を外す。ウィッグは割と簡単に外すことができるが偽造胸はけっこうはずすのに苦労する。
水でも無理やり外すことはできるがかなり痛いのでお湯で外すのが良い。
一応予備は部屋にあるが結構高いらしいし、なるべく壊さないようにしたい。毎回必ずお湯で外すことにしようかな。
風呂では一回外すが風呂から自室に移動するときに誰かに会うと非常にまずいので、更衣室から出る時にもう一回つけないとね。
流石に偽造胸をしてる状態だとBカップくらいはあるのに、風呂からあがったらわずかな胸筋(AAカップ)しかないと絶対バレる。
まあ部屋にあるケトルでお湯を沸かして外せばいいし、めんどくさいが問題はないだろう。
シャワーを浴び終わり、更衣室で寝間着に着替える。
部屋に戻り偽造胸を外すと、気疲れしていたのか電気をつけたまま就寝してしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます