転校1-3

ついにこの日が来てしまった・・・。

今日は理事長への挨拶と入寮の日。


本当はもう少し早めに挨拶と入寮をする予定だったが、これから女子高校生として生活するということから現実逃避したくてギリギリまで引き延ばしていた。だが流石に明日から始業式ということもあり、諦めて行くことになった。



本当は寮に荷物を置いてから理事長のもとへ挨拶に行くつもりだったが、道中でしつこいナンパに会い時間が大幅に押してしまったので直接学校に行くことにした。


どうしてこうなった...

校門前に立つとなぜこうなったのかを考えたくなるが、考えても無駄なことはわかりきっているので、諦めて校門前の守衛に話しかけようと思ったところ、学校から小柄で可愛らしく赤い眼鏡の女性がこちらに向かってきた。




「こんにちは、あなたが伊澤優さんかしら?」


話しかけてきた女性は、男としてはやや低身長の僕より頭一個分くらい低いし、顔を見てもどう考えても同い年くらいに見えるけど、上下スーツ姿なので、先生だろうか。


「こんにちは。はい、明日から転入する伊澤優です」


「私はあなたの担任になる岡 美穂です。これからよろしくね」


「はい、これからよろしくお願いします」


やっぱり先生だったかと思いながら挨拶を返す。


どうやら理事室まで案内してくれるみたいなので先生についていく。


理事長室に行くまでに姉さんと同い年で仲が良いことや、僕が男であることを知っているので、いつでも相談に乗るから安心して学生生活を送ってねと言われた。


とりあえず、担任が良い人そうなので安心したが、他の人に男バレしてこの人を困らせないようにしようと肝に銘じた。


そんな話をしているうちに理事長室に到着した。


「じゃあ私は職員室に戻るから、明日からよろしくね。あと、理事長はちょっと変わった人だから気を付けてね」




となにやら不穏なことを言い残して先生は職員室に向かった。


ノックをすると、どうぞとドアの向こうから声が聞こえたので、理事長室に入室した。


「あら、想像以上に可愛いわね」


部屋に入ってから第一声でいきなり30代に見える大人の色気がある女性に微笑をこぼされながら言われてしまった。


この人のペースで話すと、延々といじられそうだなと感じたので、話の主導権を取りたくて理事長にずっと聞きたかったことを話すことにした。



「なぜ男だとしっていて僕の転入を許可したんですか?」


「え?面白そうだから」


理事長は当然のように即答され話の主導権は取れないなと悟った。母さんの知り合いだと聞いていたし、あの人と同じくらい強烈な人だということを改めて理解した。


僕が諦めと悲しみを足して2で割ったような顔をしていると彼女はさらに爆弾を落としていく。


「私の知り合いも男で3年間女子校に通ってた人いたし大丈夫でしょ。その人と同じくらい可愛いわよ」


真顔でそんなことをいう彼女を見た後に、そんなやばい人と一緒にしないでほしいと心の中でつぶやいたのだった。

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