後輩編6-3
「とりあえずモデルの仕事についてはわかたけど何かの雑誌のモデルを一回やればいいってこと?」
「雑誌というよりは新ブランドのオンラインショップのモデルをやっていただこうと思っています。それの評判が悪ければ一回だけになるかもしれませんが評判が良ければそのあともやっていただきたいと思っています」
「わかった。でも新立ち上げのブランドのモデルなんて重要なやつを僕なんかがやっていいの?」
「もちろんです。私のセンスを信じてください」
なんでそんな自信があるのかはわからないが、モデルの一ノ瀬さんが言うならちょっと自信が出てきた。
「じゃあとりあえず信じます」
「はい、早速ですけど今週の土曜日に撮影があるのでお願いします」
「うん、わかった。そういえば名前とかって載るんですか?」
「下の方に小さくですが載せますよ。流石に本名ではやらないほうがいいと思いますが芸名はどうしますか」
たしかに本名で男の格好をしてモデルをしているのが学校にばれたら大変なことになる。
なんとなくだけど中性的で自分の名前に全然関係ないような名前が良いのかな?
「じゃあ弥月(みつき)でお願い」
「了解しました。じゃあ仕事場では弥月さんとお呼びしますね」
とりあえずその後は土曜日に待ち合わせをする時間などを決めて解散した。
訳も分からずモデルをやると言ってしまったが本当に僕がモデルなんてできるのだろうか。色々考えていたら、いつの間にか土曜日になっていた。
言われた通り、男っぽい女性用の服を着て寮で待っていると、一ノ瀬さんから電話がかかってきて外に出るように言われた。
寮の外に出ると車に全然詳しくない僕でもわかるような高級車が寮の前に止まっているけどまさかこれじゃないよな。
「伊澤優さんですね。お待ちしておりました」
この車だったわ。黒いスーツの女性が僕の名前を呼んだので間違いない。
なんでわざわざこんな高級車で来る必要があるんだろう。
「はい、伊澤です。本日はよろしくお願いします」
「ご丁寧にありがとうございます。私は麗様の使用人兼マネージャーの東雲です。本日はよろしくお願いします。詳しい話は車の中でしましょう」
車を乗ると一ノ瀬さんはいなかった。
車が出発すると同時に、東雲さんは僕が感じていたことを話し出した。
「麗様は撮影の準備があるので先に向こうにいます」
「なるほど、やっぱり忙しそうですね」
「麗様は自分でモデルをやりながら新ブランドの立ち上げの全体指揮をやってらっしゃるのでかなり多忙ですね」
「なるほど、そんなに忙しいのにマネージャーの東雲さんが僕のお迎えに来ていただくなんて申し訳ないです」
「いいえ、むしろ私はお礼を言いたいくらいなんです。麗様はあなたのおかげでここ数日はとても楽しそうです」
「えっ、そうなんですか?」
「ええ、いつもはつまらなそうに淡々と仕事をこなしているのであんなに楽しそうな姿は初めて見ましたよ。そういえば、私はあなたが男だと知っているのでここでウィックを外したりしていただいて構いませんよ。会社に入る前に男性の姿になっていたほうがいいと思うので」
「ありがとうございます」
一ノ瀬さんが女性の姿で車に乗って大丈夫ですと言っていたからどこでウィッグを外せばいいのかなと思ってたけど車の中で外していいのはかなり助かる。寮から外していくわけにもいかなかったし。
それ以外にも色々な話、というかほとんど東雲さんが話す一ノ瀬さんの話を聞いているとあっという間に撮影場所のファーストカレントの本社に着いた。
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