学校生活4-1
昨日と同じ様に神無と一緒に学校に行くことにした。
学校に到着し、下駄箱を開けると5通の可愛らしい封筒が入っていた。
ラブレターだと思いテンションが上がったが、よくよく考えると今の僕は、女性に見えてるはずだし、ここには女子しかいない。
でもどうみても果たし状や、イタズラには見えないしやはりラブレターなのかな。
そういえば、前の学校でもこんなことあったな。
前の学校は男子校なので明らかにイタズラとか冗談だったけどね。
でも何通か本気のやつもあって、それはそれで困ったけど。
僕が下駄箱の前で考えてていると神無が上靴を履いてこちらに来た。
「優、何やってるの」
「ああ、下駄箱に封筒が入ってて」
僕が困ったように封筒を見せると神無は首を傾げた。
「何かおかしい?」
「いや、ここ女子校なのにおかしくない?」
「私も毎日もらってる。新学期だと一年生からも貰うから特に多い」
手には僕の倍ほどの手紙を持っていた。
「そういうものなの?」
「うん」
僕の常識が通用しない世界に来てしまったと改めて思った。
教室に戻り、三木さんにラブレターの話をすると、やっぱり動く人いたねと言ってニヤニヤしていた。
1時限目は数学で、特に難しくなかったので、授業を聞きながら朝にもらったラブレターに目を通していた。
何人かが僕の方を見て顔を真っ赤にしていたが気のせいだろう。
2時限目は体育か。体育館は始業式でも行ったし場所はわかる。
トイレで早く着替えたいし、一人で出ようかな。
「優、荷物もってどこ行くの?」
「え?体育だから着替え用の荷物だけど」
僕はトイレで着替えるつもりだけど、体育館の更衣室で着替えるならみんな持って行くんじゃないのか。
「みんなここで着替えるけど」
は?教室で着替えるの?男の目とか気にしないのかよ。いや男居ないわ。
これは本気でまずい。バレるばれないの前に倫理的にこれはヤバイ。
いつか男バレたときに死刑が確定した気がする。
先生が昨日心配してくれていたのはこうなるからだったのか…
見ないようにしていても視界にはついつい入ってしまう。中でもバレー部の三木さんは運動部で着替えるのに慣れているからなのか、堂々と着替えている。三木さんは胸もかなりあり、引き締まったモデルのような体つきをしているため、無意識のうちに目で追ってしまう。
だが流石にこの状況だと煩悩よりも危機感のほうが上回る。
下はジャージを履いてからスカート脱げばいいから意外と大丈夫そうだ。
これで下は何とかなったが上はどうするんだこれ。
一応透けた時のことを考えてブラはしているが脱ぐとなれば話は別だ、そこまでムキムキではないが最低限の筋肉はあるし、脱ぐと100パーセント骨格や筋肉でバレる。
体育用のTシャツが丸首だから制服の下に着ると出てかっこ悪いと思って、下に着てこなかったのが仇となった。
他の人を見ると普通に脱いでる人もいるが、ブラウスの上からTシャツを着て、器用にブラウスを脱いでいる人がいた。
もうこの方法しかないと思って見様見真似でやってみるが全くうまくいかない。
少しの間、着替えに悪戦苦闘していると、会田さんがこっちを見て笑っていた。
「不器用だね」
「前の制服だと上手くできたんだけど、慣れてなくて」
適当な嘘をでっちあげて誤魔化すと「あーなるほどね」と言いコツを教えてくれた。
なるほど。先に袖から手を抜いてからTシャツを着てそのあとから引き抜けばいいのか。
ちょっと考えればわかりそうだが焦りすぎて全然気づかなかった。
あんまり他の人をじっくり見れないしね。
会田さんに教えてもらった方法でなんとか着替えることはできた。Tシャツは相当伸びた気がするがうまくいったと言っていいだろう。
まあ男バレするくらいならTシャツが伸びるくらいは何の問題もない。
今日の体育は一回目ということもあり、バスケかバドミントンのどちらかを選んでミニゲームをやるみたいだ。
聡がバスケ部だったこともあり、昼休みや放課後によく付き合わされていたから結構得意だったりする。
うまいところを見せて運動部に勧誘されるのも嫌だからバドミントンのほうがいいのかな。てもどっちみち本気は出せないから、比較的好きなバスケのほうがいいかな。
チームは適当に振り分けられ、こちらのチームには運動部らしい人はいない。相手には五條さんと三木さんのバレー部コンビとバスケ部の谷村さんがいる。
やる前からわかるくらいの戦力差ある。
試合が始まり案の定五條さんと谷村さんの活躍が目立つ。五條さんはドリブルはそこまでうまくないが、異常なまでの速さとジャンプ力のおかげで谷村さんがパスをだして五條さんがシュートするという単純な攻撃が誰も止めることができない。
身長の関係で僕は三木さんをマークしているけど、五條さんに着いたほうがいいかもしれない。
リバウンドは僕がそこそこ取れているが、パスを出すだけでシュートは打たないのでなかなか得点には繋がらない。
試合時間は5分だが2分経過した時点で10-0。これはもう勝てないな。
負けたほうは罰ゲームでシャトルランらしいが諦めよう。
あきらめムードがこちらのチームに出て来ている中、五條さんは試合中にも関わらず僕に近づいてきた。
「伊澤さん、仲良くやるのと手を抜くのは違うっすよ」
五條さんの表情は静かに怒りを浮かべていた。
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