第4話 暑苦しい野郎どもには、ご退場願おう‼
“おい野郎ども、いくぞ~”
“おお~”
盗賊の頭の号令と共に、盗賊と護衛の冒険者達との間で戦闘が開始された。
30対5+1(俺)一人頭 5人と対峙しなければならない状況だ。
俺は戦闘の様子を馬車の中から冷静に観察しながら、護衛の冒険者達の助太刀に入るタイミングを待っていた。
お互いに拮抗していた戦いではあったが、盗賊の方へ寝返った?
いや、盗賊を手引きした冒険者の一人から一発の炎の魔法が放たれ、護衛の冒険者達の方が、一気に劣勢になってしまった。
そこで俺は、二発目の炎の魔法が馬車の近くに着弾したタイミングで素早く馬車の外へと飛び出すと、近くにいた盗賊の一人を一刀の下に切り伏せた。
そして直ぐに、その場から盗賊の頭の方へと一直線に疾走する。
「誰だ、お前は......」
「俺は、只の冒険者さ。 その首、貰い受けるぞ」
俺は、息もつかせぬ速さで盗賊の頭の首を一刀の下に両断にした。
地面へと落ち行く盗賊の頭だった男のその顔には “へっ、何が” という驚愕の表情が浮かんでいた。
俺に、盗賊の御頭を討伐された事を理解した子分達は一斉に散り尻に逃げ始める。
劣勢だった護衛の冒険者達も息を吹き返すが、いまは駅馬車の護衛がメインの仕事なので、逃げて行く盗賊の下っ端共の方には深追いをかけずに、残って挑んでくる強者の盗賊のみ相手にしていた。
そこからは、ものの数分で全ての戦闘が、護衛の冒険者達の勝利で終了した。
そんな周りの戦闘の様子を、盗賊の頭だった男の亡骸の側で、裏切り者の冒険者3人を縄で縛り拘束した上で、俺は眺めていた。
そこへ、一通り戦闘終了後の確認を終えたらしい護衛のリーダーが仲間と共に俺のもとへとやって来た。
「たしか君は、馬車の中に居た旅人の青年だったな」
「はい、そうです。 ジョンといいます」
「そうか、俺は護衛リーダーのドナルドだ、よろしくたのむ。
そして、ありがとう助かったよ。 礼を言う」
「いえ、俺も安全な旅をしたかっただけですから......」
「それも、そうだな」
「ところで、この裏切った冒険者の方たちと頭の首はどうしますか?」
「あぁ~、君次第だがどうしたい?」
「俺は旅の途中なので、迷惑で無ければ全てそちらにお任せしたいのですが」
「討伐の報奨金とかも出るのだが良いのか」
「はい、あまり目立ちたくないので」
「そうか、そういうことなら、此方の方で処理しておこう」
残りの事後処理は護衛の冒険者の人達に任せて、俺は駅馬車へと戻って出発を待っていた。 そこへ、向かいに座っている女性が小声で話し掛けて来る。
「お兄さん、お兄さん。 あんた強いんだね」
「いいえ、まだまだ未熟者ですよ」
「そうかい? でも、助かったよ。 ありがとうね」
暫くすると、事後処理が終わり出発の準備が整ったようで、駅馬車が静かに動き始めた。
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