第18話 再開した一人旅

突然の出会いと別れだったが、何となく心温まる出来事だった。


別れ際......。

近くの街の情報を提供して貰ったので、今回は安心して旅を再開する事が出来る。


しかし、随分と街道からは真逆の方向へ進んでいたらしく、そこは完全に俺のミスだった。 初めての一人旅で、完璧に浮かれ過ぎていたのだろう。

そこは、大いに反省しなくては。 そして、二度と繰り返しません様にと “神様” にお願いしなくては。 甚だ、自信はないが。


あれから、合流した場所の後片付けして、シープの獣人達に教えて貰った方角へと俺は歩き始めた。 出発が遅かったせいか、歩き始めて1時間半程で、陽が暮れる間際の時刻となっていた。 なので、俺は小川の近くに到達したところで野営の準備をすることにした。


小川の近くには、寄り添うように生えている大木が2本あった。 そこで、俺はその木々に登り地上から5m程の所にロープを渡し、簡易のハンモックを作った。

この辺りには岩場も無く隠れる場所もなかったからで、俺は安心出来る木の上で寝ることにしたのだ。


その夜は、無事何事もなく朝までぐっすりと寝ることが出来た。

翌朝、俺は起きだすと寝床を片付け小川を渡り、街に向かって旅を再開した。

一人旅は、こういう処では自由気ままに出来るので、とにかく楽しい。


俺は、東南方向を目指して歩いて行く。 すると、2時間程進んだところで教わった通り、森と草原の際に辿り着くことが出来た。

後は、この際に沿って歩いて行くと街との中間地点になる村が見えてくるはずだ。


お日様は丁度真上にあり、昼時を示している。


俺は、近くの大きめの岩に登ると草原の方を見渡しながら昼食を済ませ、暫らくの間休息もしておいた。


景色を観ながら......。

そう言えば、カレンさんが “大鬼が3匹現れた” と、言っていた事を思い出した。

村に着いたら、その辺の事も聞いておく必要があるだろう。

遭遇しないに越した事はないからな。


休息を終わらせて、俺は再び森と草原の際を進んで行く。


それから、1時間半程歩いた先に、村の入口と思われる櫓が見えてきた。

そして、その櫓を視界に捉えた時、俺は何とも言えない安堵感を覚えた。


徐々に櫓の方へ近づいていく、傍まで行くが入口の門は閉まっているようだ。


俺は、櫓に向かって声を掛けて見る事にした。


「済みません、誰かいませんか?」


一応、大きな声で3度程、声を掛けてみた。

すると、人の足音が近づいて来て、櫓の上から男の人が声を掛けて来た。


「この村に何か用事か?」

「はい、街に向かう途中に村が有るからと、シープの獣人達に教えて貰ったので

泊まれる処は無いかと思いやって来ました」


「そうか、シープ達の紹介なら良いだろう。 いま門を開けるから、そこで待っていてくれ」

「はい」


一見さんはお断りなのだろうか?


門が開き、改めて挨拶を交わす。


俺がゴールドランクの旅の冒険者だと分かると、男の人は急に凄く丁寧な対応になった。


解せぬ‼








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