第25話 いつだすの “実力” いまでしょぅ‼
伝言を頼んだ冒険者パーティを見送り、俺は大鬼達の居る森の入口付近まで駆けて来た。
先に大鬼達と遭遇してしまった冒険者パーティは、みんな軽傷や重症を負ってはいたが生命の危険なところ迄には達していない様子だった。
そのことに、俺は少し違和感を覚えてしまう。
大鬼達の方を観察すると、深追いをする訳では無く、何か実践経験を積む訓練をしているかのような動き方だった。
“経験値稼ぎ” ふと、そんな事を考えてしまう。
やはり、人為的に誰かが事を起こしている様だ。
“いったい誰が” と、考えるが、今はその時では無い、時間稼ぎの方を優先しよう。
ただ、大鬼達に経験値は与えないようにね。
まだ傷の浅い冒険者達が戦闘を繰り返してはいるが、ゴールドランクの冒険者はここには居ない様だ。
恐らく、緊急招集に備えて村の方で待機しているのだろう。
俺はロングソードを取り出すと、声を掛けて戦闘に加わった。
「ゴールドランクの冒険者、ジョンだ。 加勢するぞ」
「お願いします!」
「治療出来る冒険者は、怪我人の治療に回ってくれ。
ギルドの方には、伝言が伝わっているはずだから、応援が来るまで頑張ってくれ」
「はい。 頑張ります‼」
「怪我の浅い冒険者は、1体に対して5人一組で相手をしてくれ。 いいなぁ」
「はい。 了解です!」
統率が取れた処で、俺は大鬼の1体と戦闘を開始した。
大きい棍棒を振り回しながら、俺に向かってくる大鬼なのだが。
“足、遅すぎないか” ドタドタと如何にも、隙だらけなのだが。
俺に対して振り降ろされた棍棒を軽く横に避けて、地面に突き刺さって動かなくなった棍棒を駆け上がると、ロングソードで大鬼の首を一刀両断にした。
ズシンと音を立てて、地面に転がる大鬼の頭、それに遅れて胴体も地響きを立てながら地面へと横たわった。
「「「すげ~、一刀両断だ」」」
怪我の治療を受けている、冒険者達から声が上がる。
そして、その声の後。
俺達の後方からは、応援隊が到着したようで。
「みんな、大丈夫か。 後は、俺達に任せろ」
怪我をしながらも、大鬼達とやり合っていた冒険者達が下がり、駆け付けて来た
冒険者達が大鬼達と退治する。
俺も1体は倒してしまったので、戦況を見守ることにした。
流石は熟練の冒険者達らしく、残りの2体の大鬼は20分程で討伐されてしまった。
戦闘は終了したが、一応周りの警戒は更にその後から来た熟練の冒険者達が行っていた。
暫くすると、3台の馬車が俺達の傍までやって来た。
馬車からギルド長のスコットさんが降りてきて、みんな声を掛ける。
「みんな、ありがとう。 ご苦労様だった。
怪我で動けない者を優先に馬車に運んでくれ。 大鬼の亡骸はブレッド頼めるか」
「了解だ、任せてくれ」
こうして、戦闘を終えた俺達は一団となって村へと帰還した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます