第24話 前振りなく始まる戦い

冒険者ギルドの機械でギルドカードの報酬残高を確認した時、その金額の余りの

多さには驚いたが、俺は宿に戻ると宿泊の日数を五日間延長して貰い部屋代を精算をしておいた。


部屋代の精算は終わったが、時刻はまだまだ昼前ということもあり、そこで俺は

東門の方へは一度も行った事が無かったので、興味本位もあり東門の外の方へ行ってみる事にした。


ギルドカードを見せて東門を抜け、森の方向へ歩いていく同業の冒険者を探した。


すると前方に、丁度良い距離感の所を森に向かっている冒険者パーティが居たので

その後を、不審に思われない程度の距離を保ちながらついて行くことにした。


同業者どうしの諍いは、極力避けたいからね。


そうして、後もう少しで森の入口に到着しようかという頃合いで、俺の200mほど

先を進んでいた冒険者達のパーティの中から一人が突然宙に舞い、草原の方へと吹き飛ばされて行った。


“ありゃ~、綺麗に飛んでいったなぁ”


その場で何が起こっているのか確認する為に、俺は魔力を目に纏い遠見で確認した。


そして、俺の視界に飛び込んできたのは、討伐対象の大鬼達の姿だった。



********


さぁ、蹂躙の始まりですよ。


********



俺は直ぐに後ろを確認する、すると後方を歩いてくる冒険者パーティが居たので、

その所まで急いで戻った......そして......。


『東側の森の入口付近で大鬼達に遭遇した。 至急、応援を頼む』と、

ギルドへの伝言を簡潔に伝え、その冒険者パーティに言付けをお願いした。


言付けを受けてくれた冒険者パーティは、駆け足で村の方へと舞い戻っていった。


“さぁて、どの程度の戦闘力かは分からないが、時間稼ぎをするとしますかね”


俺は気合いを入れると、大鬼達の居る方へと一気に加速した。


********


一方、冒険者ギルドでは......。


若い冒険者パーティが、息を切らせながらギルド入口の扉を壊さんばかりの勢いで

ギルドの中へと飛び込んできました。


「大変だ、大鬼が現れた‼」


ん~、少し落ち着いて話をして欲しいのですが......。


「どういう事ですか。 落ち着いて状況を話して下さい」

「あっ、すいません。 伝言を......。

“東側の森の入口付近で大鬼達に遭遇した。 至急、応援を頼む” 以上です」


「分かりました。 あなた達はそこで待機していて下さいね」

「はい」


私、キャンディスは急いでスコットの下へと向かいます。


「ギルド長、緊急事態です。 ホールにお願いします」

「分かった。 直ぐに行く」


緊急事態をギルド長に伝えた私は踵を返して1Fホールへと戻ると、討伐作戦に必要な編成表を作成し、ゴールドランク以上の冒険者に緊急の招集を掛けた。



10分後......。


「ゴールドランク以上の諸君は済まないが、緊急事態だ手を貸してくれ。

場所は、東側の森の入口付近だ。 よろしく頼む」


編成表に従って、パーティごとに随時出発して行った。



「そう言えば、ジョン君は如何したんだ」

「駆け込んできたパーティに伝言を頼んだのが、ジョン君のようです」


「そうか」

「はい」



私、キャンディスが思うに......。


この所、鍛錬に時間を割いていたようですから、彼の実力なら充分でしょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る