第33話 たまには冒険者???

“自称”、俺は旅人のつもりなのだが。


たまには、冒険者としての仕事はしなくてはいけないらしい。


まぁ、冒険者ギルドのカードを身分証として使っているからね、それに口座の維持をするためにも活動報告、生存報告は必要なのだそうだ。


でも、先日......ギルド長の依頼を受けた筈なのだが?


レイモンドさんが言うには、個人的な依頼内容なのでカウントは出来ないらしい。


“解せぬ”


まぁ、依頼料はしっかと貰いましたが。


そういう訳で、今日は久々に冒険者ギルドへとやって来ました。

と言っても、この街に来てまだ十日目だけどね。


定番のウエスタンドアを開け、奥の受付へと向かう。


しかし、受付カウンターには初めての来た時の受付嬢は姿が見えなかった。


俺はギルドカードを提示して、何か受注出来そうな依頼が無いか聞いてみる事にした。


「済みません、依頼を受けたいのですが。 何かありますか?」


受付嬢は俺のギルドカードを確認すると、やや考えてから依頼票の確認を始めた。


「ジョンさんはゴールドランクなので、こちらの依頼は如何でしょうか」


その受付嬢の受け答えに、久々に“ザ・プロフェッショナル”を感じることが出来た。


星三つの“excellent”をあげたい。


「大猪の駆除ですか」

「はい。 ベルツァーの街から北東にある村で、冬が近付き番の大猪が作物を荒らしているようで、その駆除の依頼です」


「分かりました。 それでお願いします」

「はい。 では、受注処理をしますね」


受注処理が終わるまでの間、俺は傍にある依頼掲示板を覗いてみた。

すると掲示板には、シルバークラスまでしか掲示しないようだった。

俺が最初に受付へと来たのは、正解だったようだ。


「ジョンさん、受注処理が終わりましたよ」

「あ~、はい。 ありがとうございます。 では、行ってきます」


「受注処理は、アイリが担当しました。 はい、行ってらっしゃい」 


冒険者ギルドを出た俺は、依頼票と一緒に渡された地図を見ながら北東の村に向かう駅馬車の停留場へと急いだ。



“ふ~、落ち着いて受け答えが出来ました。

彼が、噂のゴールドランクの冒険者ですか。

好感度の高い良い青年でしたね。

受け答えも丁寧で、安心しました。

ゴールドランクになると大概、横柄な態度になる冒険者が多いのですが......。

ギルド長のレイモンドが信を置く筈ですね。 でも、個人的な依頼はダメですが。

それと、彼からは妖精との繋がりを感じましたので、興味が湧きます”



駅馬車に揺られること3時間半、目的の村の入口へと到着した。

馬車はそのまま村に入り村役場の所まで行くようなので、そのまま乗車して村役場まで行く事にした。


村役場前に停車した駅馬車から降りると......。


状況の確認をする為に、俺は村役場の中へと入ってみた。

そして、受付の方へ目を向けると、そこには初老の男性が一人座っていた。


「こんにちは。

ベルツァーの冒険者ギルドから依頼を受けて来た、ジョンと言う者ですが」

「はい。 この村にいらして下さり、ありがとうございます」


「大猪の詳しい情報を教えて欲しいのですが、いいですか?」


初老の男性は村長さんだったらしく、大猪の情報を詳しく教えてくれた。

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