第88話 強化対策済の大鬼

翌朝......。


約束の朝7時前には、東門の所へとやって来た俺とティーナ。


“ギルド長も居るから、メンバーは全員集まっているようね”

“しかし、良くもこんなに人員を集められたもんだね”


“でも、上級ランクの冒険者パーティは居ないんでしょう”

“そうみたいだね”


“じゃぁ、集落にいる小鬼が、かなりの数そこに居るという事ね”

“この人数からしたらそういう事だね”


今回の討伐隊の編成は、シルバーランクの冒険者パーティが中心となっている。

1パーティ・5人×5=25人、そこにギルド長と俺が加わる形だ。

後、ブロンズパーティの中から治療魔法を使える魔法士が3人入っている。



街の東門から出発して3時間、森の入口までやって来た。


「よーし。 この場所を拠点とする。

みんなで手分けして作業に入ってくれ。 あと、各パーティのリーダーは俺の所へ

集まってくれ」


パーティのリーダー以外のメンバーが拠点造りを速やかに行っていく。


「よし、集まったな。

先ずは紹介しておこう。 俺の隣に居るのが、ゴールドランクの冒険者ジョンだ。

ソロでゴールドランクの冒険者になっている強者だ。 今回、大鬼の討伐をして

貰う為に来てもらった。 各パーティのリーダーはそのことを仲間に伝えて置いて

くれ、いいな。 それから、作戦通り大鬼には手を出すなよ。 ジョンを信頼して

任せてやってくれ、いいな。 以上だ」


ギルド長の話の後、俺は各パーティのリーダー達と挨拶を交わした。

それが済むと、リーダー達はそれぞれの持場へと戻って行った。


「あれだけ言っておけば、大丈夫だろう。 明日は頼んだぞ、ジョン」


「まぁ、どこまで出来るか判りませんが、頑張りますよ」



一方......。


「ソロでゴールドランクの冒険者か、とんでもない化物だよな」

「しかも、あの見た目でだからな」

「明日は、邪魔にならないように頑張ろう!」

「以前、他所のギルドで聞いたけど、プラチナランクの試験を断ったらしい」

「と言う事は、ソロでプラチナランクになれる実力の持ち主か」



翌日、早朝6時......。


森の入口の拠点を出発して、森の奥まった所にある小鬼の集落へ向かった。


「あそこだな。 情報から変わっていなければ、小鬼が約100体、大鬼が1体だ」


「大鬼はどの辺に居るんですか」


「大鬼はあそこに見える洞窟の中に居るらしい」


「分かりました。 外の集落の小鬼は全部任せていいんですよね」


「大丈夫だ。 いざとなったら、俺も出張るから。

元プラチナランクの名にかけてそこは頑張るさ。 じゃぁ、よろしくな」


「まぁ、無理は禁物ですよ。 では、お先に行ってきます」


俺はギルド長のトッドに挨拶をすると、小鬼に気付かれないように、洞窟の方へ

回り込むように移動した。


“さて、外は任せるとして。 ティーナ、中の様子はどうかな?”

“小鬼が10体、大鬼が1体だわ”


“大鬼はどの辺”

“洞窟の一番奥の広間みたいな所に居るわね”


認識阻害の魔法をかけて、洞窟の入口から中へと足を踏み入れる。


入口から広間までに居た小鬼には悪いが、気が付かない内にサクッと首を撥ね

させてもらった。


“ジョン、容赦ないわね”

“仕方ないよ、時間を掛けたくないからね”


そいう訳で、ササッと大鬼の居る広間までやって来た。


“ティーナ、大鬼の気配はからして、やっぱり強化済みの個体のようだね”

“以前と比べてどの位、強化されているみたい”


“最初の戦いを1とすると、約3倍という処かな”

“大丈夫そう?”


“全然平気じゃないかな。 白龍と契約したでしょう、あの時に俺の方へ白龍

の能力の一部が解放されたみたいなんだよ。 だから、いけるんじゃないかな”



さて、お手並み拝見と行きますか。

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