第87話 旅人メインで冒険者はサブです
温泉郷で温泉を堪能してから三日目......。
この二日間は、街中をのんびりと屋台回りをしたり、食材と消耗品の補充を
したりといった行動していた。
しかし......。 今朝早くに、冒険者ギルドから連絡員が宿にやって来たらしく。
「ジョンさん、ギルドの方へ来てくださいと連絡員の方がこれを」
「はい、ありがとうございます」
俺は宿の受付担当の人から、ギルドの連絡票の入った封筒を受け取った。
嫌な予感しかしない。
“じょん、何て書いて有るの?”
“討伐の依頼を受けて欲しい、と書いて有るよ”
“あれじゃない、高ランクの冒険者も感謝祭に行っているんじゃないの”
“確かに。 収入には困っていないだろうからね”
“でも、なんでジョンに。 他にも冒険者は居るはずなのに?”
“ティーナ。 ほら、あの時も......”
“あ~、帝都に向かう商隊の護衛の時のことね”
“シルバーランクの冒険者では、対応できない事案なんだろうね”
仕方がないので、取敢えずギルドに顔を出してみることにした。
ギルドのウエスタンドアを開けて、奥の受付へ向かう。
そして、ギルドカードと連絡票を提示して、俺は受付嬢に声を掛けた。
「済みません、ジョンと言いますが。 連絡票を受け取ったのですが?」
「はい、ジョンさんですね。 お越し頂いてありがとうございます。
ギルド長からお話があると聞いていますので、こちらへどうぞ」
ギルドにしては嫌に丁寧な対応に、俺は鳥肌が立つ思いだった。
「ジョンさんこちらです。 ギルド長、ジョンさんをお連れしました」
「おう、入って貰ってくれ」
受付嬢に促されて、俺はギルド長室に足を踏み入れた。
「初めましてだな。 俺はこの街のギルド長のトッドだ。 よろしくな」
「初めまして。 俺は、旅人で冒険者のジョンです」
「聞いていた通り、冒険者が先じゃないんだな」
「えぇ、あくまでも俺は旅人がメインですから」
「そうか、冒険者はサブと言う事か。 それで、ゴールドランクの冒険者なんだ
から、下の奴らはもっと頑張らないとゴールドランクの冒険者には届かないよな。
それで、本題なんだが......」
急にギルド長の雰囲気が変わった。
「実はな、東の森に小鬼の集落が出来てしまって困っているんだ」
「小鬼なら、シルバーランクの冒険者パーティでも対応可能なのでは?」
「普通ならそうなんだが......。
何故かそこに、リーダーとして大鬼が1体混じっているんだよ。
それで、ジョンには小鬼の討伐隊に同行して貰い、俺としてはこの大鬼を討伐して
欲しいと思っているんだ」
「なるほど、理由は分かりました。 仕方ないですね、同行しましょう」
「ありがとう、助かるよ。 出発は明日の朝7時で、東門の所だ」
「分かりました。 東門の所に、朝7時ですね」
ギルド長と承諾の握手をして、俺はギルドを後にした。
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