第21話 鍛錬は噓をつかない???
ヴェスターの村で過ごし始めて三日目......。
夕方になり宿に帰ると、冒険者ギルドの連絡員が宿の受付に連絡票を預けていったようで、部屋の鍵を受け取る時に一緒に渡された。
俺は朝から西側の門を出て、草原の近くで剣と魔法の鍛錬をしていて、宿には居なかったから、連絡票を預けていったのだろう。
鍛錬は一日休むと、元の状態まで戻すのに五日は掛かると師匠に言われていたので、なるべく時間を見つけては短時間でも集中してやっていた......の、だが......
やはり、それでも多少は動作の感覚が鈍る様で、今日は思い切って日中を丸々鍛錬に充てることにして身体を動かしていたのだ。
“大鬼達の事も、気になるからね”
午前中は、基礎体力の向上に充て。
午後は、剣の型の確認と素振りを2時間半、魔力と魔法発動の制御を2時間。
みっちりと行った。
そして今は、宿の食堂で夜の食事を頂きながら、連絡票に目を通していた。
なになに “指名依頼を受けて欲しい” ......か⁉
多分、大鬼達の討伐に関しての事だろうな。
明日の朝一で、冒険者ギルドへ行ってみるか。
食事を終え、入浴を済ませると、俺は翌日に備えて早目に就寝した。
翌朝......。
食事を済ませ、身支度を整えると、俺は冒険者ギルドへと急いで向かった。
ギルドに入り、俺が連絡票を持って受付に向かおうとしたその時、目の前に急に
大きな影が立ち塞がった。
「おいお前、ここいらでは見ない顔だな」
「この村に来て、まだ三日ですからね」
ん~、ここで絡まれるのは、ちょっと想定外なのだが。
「ちょっとそこまで、面をかせや」
うわぁ、これは困った事態になったな。 “一旦、宿に帰るか”
そう思い、俺が踵を返そうとしたところへ、男が腕を振り上げて殴り掛かろうとして来た。
あちゃ~、もうこれは対処するしかないと、俺も覚悟を決めて身構えた瞬間、男の姿が突然目の前から掲示板のある方へと吹っ飛ばされて行った。
俺はその突然の状況に啞然としたまま、その対処をした人物の方へと顔を向けた、そしてそこにいたのは、事務服姿で立っている秘書官のキャンディスさんだった。
俺はそこに何事もなかったかのように、悠然と立っているキャンディスさんを見た瞬間、思わず心の中で......“超強ぇ~、” と、叫んでいた。
そんなキャンディスさんの雄姿にビビりながらも、俺はポーカーフェイスを装い......
“ありがとうございました” と、何とかお礼を言った。
すると、キャンディスさんは吹っ飛ばした男を見ながら......
「ギルド内で、いざこざを起こさない様にはいつも言ってはいるんですが、お酒が入ると偶に彼のような行動を起こす輩がいるのです。 気を付けて下さいね‼」
と、“ニコッ” と微笑みながら、俺に説明をしてくれた。
微笑みと、その言葉の重厚さに俺は......。
“イエス・マム、アイ・アイ・サー”と、従順に頷く事しか出来なかった。
そして、俺は “もっと真剣に鍛錬を頑張ろう‼” と、心の中で誓うのだった。
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