第57話 報、連、そして...

今日は朝から、人の集まりに参加する事柄が多いような気がする。

まぁ、どちらも急を要する事柄だから仕方ないのだけれど。



午後3時、町役場の会議室で対策会議が始まった。


「まず自警団の方から村に向かってくる魔物の報告します。

ここでは、鰐擬きと呼称しますが正式名称はまだ有りません。

数は、3匹です。 個体としては、体長約3m程の大きさです。

村に到達するのは、明日の昼前だと予想しています。 以上」


「次に冒険者ギルド支部長のクレアです。 

討伐に協力してくれる冒険者の数を報告します。

ブロンズランクの冒険者が4名、

シルバーランクの冒険者パーティが2組で10名、

ゴールドランクの冒険者が1名、

が討伐に協力してくれる手筈になっています。 以上」


「「「おぉ、ゴールドランクの冒険者が居てくれたか」」」


「では最後に、町長の私から、

鰐擬きの討伐は、冒険者ギルドの方に全て一任します。

町の住民の避難に対しては、自警団にて対応します。

また、宿の宿泊客の方も同様に、自警団にて対応します。

ですから、冒険者の方達には町の防衛の事は気にせずに、

魔物の討伐に注力して頂きたいと思います。 以上」


会議には冒険者ギルドの代表として、支部長のクレアさんと俺しか参加して

いなかったので、ギルドに戻り情報の共有をする事になった。




翌朝......。


雨は止んだが、厚くて黒い雲がまだ上空を覆っている。


昨日買い付けに行ったシルバーランクの冒険者達も、食材を無事に確保して

宿に戻って来ていたようで、鰐擬きの討伐に参加する為に、トルシェ側の門

の前で待機していた。



「皆さんおはようございます。 冒険者ギルドの支部長クレアです。

冒険者の皆さん本日はありがとうございます。

鰐擬きは、体長3mの大きさで、数は3匹で変わりありません。

そして、昨夜話し合いで決めた通りの役割で対処をお願いします。

では出発前に、もう一度確認しておきます......

ブロンズランクの冒険者4名は後方支援をお願いします。

シルバーランクの冒険者2パーティの方達は、其々1匹づつ討伐をお願いします。

ゴールドランクの冒険者ジョンさんには一人で1匹を討伐して貰います。

よろしいですね。 では、出発しましょう」



トルシェへ向かう街道を下って行くこと30分、討伐対象の鰐擬き3匹の姿を

確認した。


先頭に2匹、後方に1匹で、並び具合が丁度、正三角形の頂点を後ろにした

ような形で戦闘フォーメーションのようなものだ。

如何やら、知能が発達している個体のようだ。


「クレアさん」

「はい、何でしょう。 ジョンさん」


「如何やら、知能の発達した個体のようです。 3匹ともそうなのかは分かり

ませんが、後方の1匹は確実に知能が発達した個体だと思います」

「そうですか。 ゴールドランクのジョンさんが感じた事ですから直ぐに対策

を講じましょう」


俺の意見を聞いたクレアさんが直ぐに......


「冒険者の皆さん集まって下さい」


直ぐに全員が集まる。


「ジョンさんからの見解で、知能の発達した個体がいるようなのです。

ですから、少し対策を講じてから討伐を始めたいと思います」


「その方が安心できるが、具体的には如何するんだ」


「ジョンさん、お願いします」


「ここから見ても、鰐擬き達が隊列を崩さずに、移動しているのが分かると

思います。 なので、後方の1匹が確実に指示を出していると考えられます。

そこで、前方の2匹と後方の1匹の間に、火魔法を打ち込んで分断する事が

出来れば、その方が得策ではないかと思います。

そこで何ですが、ここに火魔法を扱える方はいらっしゃいますか」


一人の女性が手を挙げた。


「はい、私が扱えます」


手を挙げた女性が所属する、シルバーランクの冒険者達と手筈について話し合い

5分後に行動を開始する事にした。

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