第44話 春の訪れと令嬢の決意

寒い冬を越し、暖かな春へと季節は廻って行く。


私ララは、実家の屋敷では有りますが、この冬を何とか越す事が出来ました。


それも、私の実家の家族のお陰です。


父様、母様、それに兄弟は大変な思いをしているのに、献身的な看病を私に対して

行ってくれていました。


それに聞いた処によると、ジョンの兄上が解毒のポーションを何本も融通してくれていたらしい。


私の兄様とジョンの兄上は同級生で仲が良いと、父様が言っていましたからね。


私がジョンに対して婚約破棄をした事に対しても、ジョンの兄上は気にも留めてい

ないそうです。


母様の件で、私の実家は降格して伯爵家となりましたが、そのことに関しても同様

のようです。


やはり、東部辺境伯爵家という地位にあるという事は、領主家としての懐の大きさが無いと駄目なのでしょう。


そうでないと、隣国との最前線な訳ですから、いざという時に騎士団の団員達も付いて来てはくれないでしょうから。


遠く離れた王都に居ると、そんな事もすらも忘れてしまうのです。


それは、王宮の人達も一緒ですね。


最前線で守ってくれている騎士団の団員達が居て、初めて王宮の平和な生活が成り立っているのですから。


王宮内で、席の奪い合いを繰り返している、あの婦人達にはその事実すら分からないのでしょう。


以前の私もそうでしたから。



春になり体調が戻って来た事で、ジョンのその後も兄様から教えて頂きました。


領都の魔法学園を首席で卒業して、既にゴールドランクの冒険者だそうです。


まだ、1年も経っていないのにです。 


それに、隣国では大鬼も一人で討伐してしまったそうです。


どうやら、私は本当に判断を間違っていたようです。 今更ですが......。


今は、隣国のメルセーデス公国の首都を抜け、ロシアーノ帝国に向かって旅を続け

ているそうです。



私は、決断しました。


第2王子様との婚姻を解消して、修道院に入ると。


もう一度、自分を見つめ直す時間を作ろうと。


そして、これからの人生は人の為になる事をやって行こうと......。


もう迷う事は有りません。 それが、私の決意です。

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