第37話 失意の令嬢

季節が夏から秋に、そして冬へと移り変わっていく......。


王都では、季節ごとに各所で祭りが行われていて、何時も賑やかな住民たちの声が響ている。


そんな中、私は実家の屋敷に用意された自分の部屋で、病に伏せていた。


大鬼の事件に対する処罰が終わった後、私の立場は大きく代わってしまった。

側室の序列が第1位から最下位へと......降格になった。

夫である第2王子様はそれでも尚、良くして下さったのだが、その他の夫人達には

快く良くは思われてはいなかったようだ。


まぁ、いま考えてみれば......。


それは、最初の頃の私の高飛車な態度を考えれば致し方無い事ではある。


“いつの頃から、こういう感じになってしまったのか?”


幼い頃に......ジョンに会った時は、まだ素直な少女だった筈だ


そうか、王都の学園に通い始めて......、

公爵家の令嬢という事でチヤホヤされ始めてからだ。

そう、私が級友達の言葉に、自分自身が勘違いを起こしてしまったのだ。



王城の奥の宮は、魑魅魍魎が生きかう特別な場所。


私は、側室としてそこに足を踏み入れて初めての自覚したのだった......

此処の場所は、私ララの来るべき場所では無かったのだと。


それから、少しづつではあるが高飛車な態度を直すようには努力はしていたのだ。


ただ長年にわたって培っていた性格は、一朝一夕では変わるものでもない。


私の存在を疎ましく思う夫人達には、大鬼の事件が丁度良い引き金になってしま

ったのかも知れない。



夫人達のお茶会に誘われて、全て断る事は叶わない。


いつの間にか、知らず知らずのうちに徐々に低下していく身体の機能。


そしてついには、歩くことさえ出来なくなってしまった。



そして、私は実家である屋敷へと送り返されたのであった。

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