第38話 見た目とは違う
ふぁ~、昨夜は早目に就寝したのに、まだまだ寝れそうだ。
今日は、午後から冒険者ギルドに顔を出して、護衛の報酬を受け取る事と
ロングソードのメンテナンスを何処かに頼まないといけない。
“実家を出てからしっかりとしたメンテナンスをやっていないからな”
特に大鬼との戦闘で太くて硬い骨を両断した事で少し歪みも出ている気がするから
専門の職人さんに手入れを頼みたい。
今日の予定を頭の中で組み立てながら、俺は外出する為の身支度を整えた。
さぁ、出掛けようと宿屋の玄関ホールに行くと......
「ジョン。 何処に行くんだ」
「あっ、ロバートさん。 おはようございます。
ロングソードのメンテナンスをして貰おうと思って出掛ける所です」
「そうか、何処か行くあてはあるのか」
「いいえ、この都市に来るのが初めてなので、歩きながら探そうかと」
「それじゃあ、俺が何時も頼んでいる鍛冶屋に連れていってやる。
少しそこで、待っていろ」
10分後......。
ロバートさんがパーティーメンバーの人達と玄関ホールへとやって来た。
「あれ、皆さんは如何したんですか?」
「俺達もついでにメンテナンスをして貰おうと思ってな。
それにどうせ午後はギルドに行かなくちゃいけないから、そのついでだな」
俺は、ロバートさんとそのパーティーメンバーと一緒に鍛冶屋に行く事になった。
15分後......。
言っては悪いが、少し小汚い鍛冶屋へと到着した。
「ロジャーの親父、居るか~」
「そんな大声出さんでも、聞こえとるわい。
なんじゃ、ロバートとその仲間か。 んっ、見ない顔が一人居るな」
「あ~、紹介する。 今回の護衛の仕事で大活躍した、ジョンだ」
「そうか、強そうには見えんがの」
「まぁ、見た目からしたらそうかもな。
取敢えず、ジョンのロングソードを見てやってくれ」
「よかろう。 ロバートがそう言うならな。
ジョンといったな、ロングソードを出して見ろ」
「済みません、これです。 お願いします」
雰囲気からして、相当腕の起つ職人さんのようだ。
“小汚いと言ってゴメンナサイ!” と、心の中で謝っておく。
「お前さん、いったい何を切ったんだ。 刃こぼれもあるし、少し歪んでもおる」
「え~と、大鬼2体と大猪の2体です。 は...い...」
職人さんとロバートさん、それにパーティーメンバーも少し引いていた。
“ごめんなさい”
「そうか、それだけ腕が立つのなら......。
そうだな、こいつを下取りしてやるから、もう2ランク上の剣を買え。
お前さんの腕なら、その方がええじゃろう」
「分かりました。 それでお願いします」
「全く、ロバートもとんでもない奴を連れてきおって。
久し振りに、槌を振るう腕が鳴りおるわい。
ジョンといったな、七日待て。 しっかりとした剣を打ってやるからな」
俺のロングソードは、メンテナンスでは無く下取りとなりドナドナされていった。
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