第123話 領都フィエンテ
18歳の夏に旅に出て、大陸にある四か国を巡ってきた俺の旅も終盤を迎えよう
としていた。
“ジョン、もう直ぐね”
「そうだね、でも旅に出る前と代り映えはしないと思うけどね」
“そう言えば、ヴィーナは如何するの?”
「私? 勿論、ジョンに着いて行くわよ。 契約もしているしね」
“あっ、ヴィーナは美味しい物を食べたいだけでしょう”
「まぁ、失礼な...と言いたいところだけれど、それも一つの目的だから反論は
しないわ」
「まぁまぁ、次の事は...一回、実家の屋敷に着いてから考えることにしよう」
二日後......。
俺達は、領都フィエンテの街壁の門を通り抜けた。
「取り敢えず、このまま実家の屋敷に向かうからね」
“楽しみ~”
「先ずは、ご家族に挨拶をして置かないとね」
1時間後......。
俺達は屋敷の大広間で、俺の家族と対面を果たしていた。
「父上、ただいま帰りました」
「おう、元気そうで何よりだ。 良かった、良かった」
父上と挨拶を交わして、母上、兄上達と順に挨拶を交わしていく。
「それでは、途中から一緒に旅を続けていた、先ずはティーナを紹介するね」
ティーナがステルス状態を解除して、その姿を家族に見せる。
「「「お~!!!」」」
「まぁ~!」
ティーナが突然姿を現したので、家族が驚いた反応を示した。
「初めまして。 フェアリーのティーナです。 不束者ですがよろしくお願い
致します」
俺が気付かない内に、嫁入りの挨拶を交わしていたティーナ。
それを聞いた母上は歓びのあまり、ティーナに近付くと抱きしめていた。
その横では父上も、その様子を見て笑顔を見せていた。
兄上達は訳が分からないようで、キョトンとしていた。
「あっ、え~と...続けますね。 隣にいる女性は、ヴィーナで元の姿は白龍にな
ります」
「「「「はぁ~????」」」」
そりゃ~驚くよね。
「私は、ヴィーナと申します。 ジョンとは契約を交わしています。 よろしく
お願いしますね」
「「「「えっ~????」」」」
こりゃまた、二度びっくりだね!
「父上、紹介は以上です」
「ジョン。 以上です、は無いだろう。 どうやったら、そういう事になるんだ」
「え~と、たまたまです。 これしか、答えようがありません」
「そうか、まぁ...良い。 出逢いはゆっくりと聞く事にしよう」
この夜は、帰宅の晩餐を盛大に行ってくれた父上、俺は何時ものように接してくれた家族に感謝した。
「ここが、ジョンの部屋なのね」
「結構、殺風景でしょう」
「でも、綺麗にお掃除がしてあるわね」
「まぁ、使用人達が頑張ってやってくれているからね」
俺達が部屋に入った時には、既にヴィーナ用のベッドも運び入れてあった。
今日は取りあえず休んで、これから如何するかは明日から考えよう。
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