第40話 なるほど納得
フェアリーのティーナと、初めての共同作業は思いのほか順調に終わった。
“いや、順調過ぎたかもしれない”
あれから探索をティーナが行い、捕獲を俺が担当して、ものの2時間で5羽の八面鳥を捕獲する事に成功した。
そして今、俺は冒険者ギルドの受付嬢アンナさんの前に、捕獲して籠に入れてある
八面鳥を置いて、ドヤ顔をしていた。
“ティーナの活躍が有るからなんだけれどね”
「どうでしょう。 アンナさん」
「参りました」
受付のカウンターに両手を置いて、深々と頭を下げているアンナさん。
その光景を、周りにいる人達が不思議そうに眺めていた。
「ところで、この八面鳥は何処で食べられるのですか?」
「はい。 “鳥王族”と言うお店で食べられるのですが。
そこはですね、一見さんお断りのお店で紹介状が必要なんですよ」
ん~、敷居の高い高級レストランらしい。
「そうですか。 それなら、自分で捌いてみるのも手ですね」
「大丈夫ですか? お料理できるんですか......」
「あっ、それなら大丈夫です」
依頼は数の指定が無かったので、ギルドに4羽を納品して報酬を貰い、1羽はお持ち帰りとした。 1羽の報酬は何と金貨1枚、超高級食材だった。
ギルドで一羽が入る小さい籠を貸して貰い、宿屋へと持ち帰って来た。
それから自分で捌いてみようかなと、ギルドでアンナさんには言ってはみたが......、
流石に金貨1枚の高級食材を無駄するような度胸はないので、宿屋の料理長にお願いする事にした。
宿屋の玄関ホールに入ると......
「ジョン、随分と遅かったな」
「ロバートさん。 いや~、八面鳥の捕獲に草原の方へ行って来たんですよ」
「それで、捕獲は出来たのか?」
「はい、この通り。 この籠の中に1羽入っています」
「お前、納品しなかったのか。 超高級食材だぞ、報酬も別格だろう」
「それは大丈夫です。 5羽捕獲して4羽を納品、この1羽は自分用です」
「自分用に1羽確保って、贅沢すぎるだろう」
「いや~、アンナさんに鳥王族でしか食べられないと聞いたので」
「そうか、あそこは会員制で紹介がないと入れないからな。 それで、調理はどうするんだ」
「ここの料理長にお願いしようかと」
玄関ホールでロバートさんと八面鳥の取り扱いを話していると、急に奥の方から......
「おい、その籠こっちに持って来い」と、大きな声で呼ばれた。
「あの声は、料理長だな。 サッサと行くぞ、後が怖いからな」
ロバートさんは何やら思う処があるようだが?
俺は、素直に声のした方へ籠を持って行った。
「おい坊主、その籠の中に八面鳥が入っているのか」
「はい、見てみますか」
「いやそのままで良い。 それで、調理を俺に頼みたいのか」
「はい、出来ればお願いします」
「そうか、そうか。 良し、良し。 調理してやろう。 食堂の方で待ってろ」
そう言うと、俺の持っていた籠を強引に奪うようにして取り上げると、調理場の方へと持って行ってしまった。
「ありゃ~、かなりのご機嫌だな」
「そうなんですか」
「滅多に手に入らない食材だからな。 調理したくてウズウズしてるのさ」
この日の夕食は、ご機嫌な料理長が腕を振るった料理が所狭しと並べられた。
八面鳥の味は、流石の超高級食材の美味しさだった。
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