第84話 その後のこと

蒟蒻フルーツゼリーの補充を完了したティーナ。 と、俺は......。

日程通り、5日後無事に聖都のニーアに到着した。


しかし、俺とティーナが訪れたこの時期は、ちょうど感謝祭が行われる期間

だったらしく、人が溢れんばかりに聖都に集まっていたのだ。


“ティーナ、以前にもこんな事があったよね”

“そうね。 このパターンでいくと、また泊まる所が無い可能性が高いわね”


そう、このパターンは以前......。

ロシアーノ帝国の北部の街、シュペルクを訪れた時に経験済みだった。


“ジョン。 如何するの?”

“どうせ、冒険者ギルドに顔を出さないといけないから、その時に考えよう”


俺は、街中の喧騒を横目に眺めながら、冒険者ギルドへと向かった。


そして案の定、ギルドの周りにも人が溢れていたが、何とか掻き分けながら

ウエスタンドアを開いてギルドの中へと入った。


“凄い人混みで、ここに来るまでに疲れたよ”

“お疲れ様、ジョン!”


奥の受付へと進み、受付嬢にギルドカードを提示しながら宿の事を聞いてみた。


「済みません。 聖都で泊まれる宿屋は有りそうですか?」


「この時期は、どの宿屋も満室で宿泊は無理だと思います。

冒険者の皆さん達には、ギルドが訓練場を開放しておりますので、訓練場の方

でテントなどを使って頂いて、宿泊して貰っています」


「そうですか。 分かりました、ありがとうございます」


「そう言えば、ジョンさんはスタンツァの街から来られましたか?」

「はい、そうですけれど」


「それでは、少しお時間を頂けますか。 ギルド長がお話を伺いたいそうです」

「分かりました」


この後、受付嬢にギルド長室まで案内されて、ギルド長と洞窟のその後の話を

2時間ほど話し合った。


そして、ギルド長との話が終わった後、ギルドの訓練場まで足を運ぶとテントの

設営を始めて、いま設営が終わったところだ。


“慌ただしく時間だけ過ぎた感じだね”

“でも、寝る場所は確保出来たんだから、後はのんびりとしましょう”


俺とティーナはテントの中に入ると、先程の話し合いの内容を確認する事にした。



“最深部で大鬼が出たと言っていたね”

“ジョンは一度戦った事があるんでしょう”


“そう、ティーナと出会う前の事だね。

でも、あの時の大鬼は、今回の話に出て来たような強さでは無かったよ”

“じゃぁ、強くなったという事”


“多分ね。 前の時も、経験値稼ぎをしていた節があったからね”

“それじゃ、今回の事で更に強くなっているかも知れないの”


“そう考えるのが、妥当だね”

“その大鬼達の強化をしている人物は何を考えているのかしら”


“俺もその人物に遭遇した事はないから、そこは何とも言えないかな。

でも、何かしらの意図的なものは考えられるんだけれどね。 復讐とかさ......”


“今はまだ、情報が全然足りないのか”


“まぁ、でも。 探索に参加した冒険者達は、大なり小なりの怪我はしたみたい

だけれど死者は出なかったみたいだからね”


“そこは、良かった所よね”

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