第77話 進む者と抗う者

探索の継続を断念した俺とティーナは洞窟を出ると、そのまま山を下山した。

そしてその足で、スタンツァの街の冒険者ギルドへと報告に向かった。


翌日......。


俺とティーナが持ち帰った調査結果の報告を聞いて、スタンツァの街のギルド

長は判断を下した。

山の中腹にある洞窟の探索は、上級の冒険者を集めてから行う。

そして、この後の対処は全てスタンツァの冒険者ギルドで行うことが決まった。



“上級の冒険者を集められて、探索が上手くいくと良いけどね”

“まぁ、魔物が洞窟の外まで出て来るような気配は感じなかったから、冒険者の

人数を集める時間は十分にあるんじゃない”


俺とティーナは5日ほど滞在したスタンツァの街を後にして、聖都ニーアを目指

して旅を再開した。


********


14日後......スタンツァの街では。


聖都ニーアから帰還したプラチナランクの冒険者を中心とした探索隊が組織

された。


そして、総勢15名で構成された探索隊は、山の中腹にある洞窟の入口に終結

していた。


「前回の調査で、地下へ下りていくタイプのダンジョンになっているのが、

分かっている。 そして、10階層までは魔物も出ていない。

但し、あれから14日経っているので、魔物が出て来る可能性も十分考えられる。

みんな、気を引き締めて事に当ってくれ。 さぁ、出発だ」



その頃......。


俺とティーナは、精霊エリアスを交えながらのんびりと聖都ニーアを目指して

北上を続けていた。


“ねぇ、ジョン。 地図に載ってるこの湖に行ってみたいわ”


精霊エリアスが、俺が見ている地図を覗き込みながら珍しく意見を述べてきた。


“ティーナ。 エリアスが湖に行きたいみたいだけど、どうする”

“私は構わないわよ。 面白そうだし”


ティーナも賛成に回ったので、俺達は地図に載っているビクトリアの湖に足を

延ばして見る事にした。



洞窟内、最深部では......。


さぁ、お前達。


強化の最終段階です。


丁度よい獲物が、もう少しでここ迄到達するでしょうから楽しみですね。


どれ位強化できたのか、そしてどれ位抗ってくれるのか......



そして、3日後......。


「ここまでは何事もなく来れたっつうのに、最深部でいきなりこいつか」


ついに、ダンジョンの最深部で冒険者達と強化された大鬼達が遭遇した。


「シルバーランクの冒険者は後ろに下がれ、ゴールドランクの冒険者は俺と一緒

に来い。 行くぞ‼」


「「「お~」」」


Goaaaaa......Guaaaaa


ドゴッ、ドガッ


ボコッ


ドシュッ


「硬って~な。 火魔法を奴の顔面に向けて放ってくれ」


「了解」



俺はプラチナランクの冒険者、今回の探索隊のリーダーだ。


最深部でまさかの大物に出くわすとは思わなかった。


ここに来る迄が余りにも簡単すぎたので、安易に考えていたのかもしれない。


だが、一人の犠牲者も出さずに、俺は戻って見せる。


「うぉりゃ~、成仏せいや~」




ふむ、今回はここまでのようですね。


ですが、しっかり取り組んだ成果が出てきました。


次は、ブラックランクの冒険者でも手に余る事でしょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る