僕のラノベは世界を救う
物書き・K
序章
序章 ある日、警察がやってきた
ある日、警察がやってきた。
え?
なぜ分かったのか。
というか、なぜ警察が?
しばし彼は固まった。
自分の正体は誰も知らないはず。いまここに自分がいることも誰も知らないはず。
編集者・九門大地(クモン ダイチ)、29歳。
174cm・66kg、パーカーとジャージが好き、短めの無造作ヘアで、眉毛はやや太め。
学生時代から憧れていた出版社に入り8年目の彼は、2つの顔を持っていた。
1つは、出版社勤務のサラリーマン。
そしてもう1つは、日本を代表するラノベ作家。
副業的なものは会社でアレコレ言われるため、彼は「鬼面ライター」なるペンネームを名乗り、会社には内緒でラノベを書いている。
書き始めたのは3年前、26歳のときだった。
文章を書くのが好きだった彼は、ひょんなキッカケからブログを立ち上げた。そこで日記的なものを更新しながら、ラノベを書き始めた。
「ちょっとした趣味」のつもりだった。
だが、3年後の現在、彼が生み出した作品は当初の想像を遙かに超える規模に成長している。
もはや国内に(いや、海外にも)その作品の名を知らない者はいない、といっていいレベルにまで。
九門は、ブログ上で本名は公開していない。
「クモン」なんて珍しい苗字、一発でつきとめられてしまう。さらに顔写真なんて、もってのほか。
ラノベ作家・鬼面ライターが出版社勤務のサラリーマン・九門大地であることは、ごくごく一部を除き、誰も知らない。
その作品は日本中に(いや、海外にも)知られているのに、それを誰が書いているかは、誰にも知られていない。
ある日、
その九門のもとに、数人の警察官がやってきた。
彼らは言った。
「鬼面ライターさんですね?」
九門は答えにつまった。
「え……?」
なぜ分かったのか?
というか、なぜ警察が?
警察官は続けてこう言った。
「キミのチカラが必要なんだ。もう望みはキミしかいないんだ」
まもなく30歳になる九門大地は、数人の警察官に囲まれ、PCの前に座らされた。ブログの編集画面を開くのは、1年ぶりのことだった。
なぜ彼はいま日本を代表するラノベ作家となっているのか。
なぜ彼はいま警察官に囲まれているのか。
なぜ彼のチカラがいま必要とされているのか。
物語は3年前へと遡る。
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