第8話 時を裂く

いつの間に毎日が

平坦なものになったんだろう

雨の日にも晴れの日にも

大した感慨もなくて


今日もまたいつも通り

表情のない時の繰り返し

垂れ込めてくる雲に

こみあげる思いを押し隠す


低く飛ぶツバメは

雨の気配を連れ

夕暮れ時の気怠さを

まっすぐに切り裂く


その鋭さで

無意味な肌を引き裂いて

この鈍い感覚に

尖った痛みを与えて


認知した痛みは

薄れた感情を呼び覚まし

狭くなっていた視野に

失われた色彩が蘇る


今切り裂かれた夜の中

過ぎゆく時を抱きしめる

流れる赤を見ながら

止まらない涙に溺れて

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