第90話 穴

穴の中を覗いたら

なぜか底に自分がいて

暗い暗い底の方から

恨みがましい目で見ていた


別に恨まれることもないし

まっすぐ立っていればいい

なのになぜか居心地悪くて

そっと目を逸らしてみた


目に入るのは高い壁

見渡す限りの灰色が覆い尽くす

ふと目を掠めたのは光で

その出所を見上げてみる


そこには一つの丸い穴

覗き込む自分がいて

なぜお前だけ外にいるのかと

睨めば目を逸らされた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る