第89話 夜空に

遠い星に願い重ね夜空を見上げて

この光がいつか失われること心に刻んだ


永遠なんてない、そんなこと分かってる

それでも掴まえたくて伸ばした手は虚しく風を切って

こぼれ落ちていく時をただ見ているだけ


この世の不条理にも似た飲み込めない現実は

蝕んではびこって当たり前にそこにあって

もうそこに違和感すら抱けない


眠り姫みたいに今を閉じ込めて

進まないよう壊さないよう

そっと包みこめたらいいのに


ここにいるよ、ほらここにいるからって

伝えたい言葉は砂のように風に消えて

ただ静かな星の光が窓辺を照らすだけ

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