第107話 春呼ぶ雨

春呼ぶ雨が連れてきた

白い小さな花びらを

そっと手に取り口づけて

早すぎたその命を憂う


あと少し遅く生まれれば

まるで生き急ぐかのように

散ることもなくいたのかと

その運命を思いやり


きっとこのまま土へ還り

そっと命を眠らせて

また来る春に逢えるよに

風へと行く末を委ねよう


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