第20話 離ればなれの時の中

無心で蝶を追いかけた

幼い日の思い出

今はもう何重にも

鍵をかけた扉に沈み

ぐるぐると巻き付いた

錆びた鎖の中で

朽ちることすらできず

その身を潜めている


ここにはいない姿

心の奥で求めても

何も掴めない手が

今虚空をすり抜けて

それでもすれ違う

それぞれの流れの中

蒼い時を奏でて

この孤独に寄り添う


力のないこの手じゃ

温めることもできず

目に見えない痛みを

癒やすこともできず

それでもただ一つ

この祈りを捧げる

遠い街のどこかで

ただあなたを思うよ

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