第111話 行く春に
舞い散る桜とともに
心に巣喰う澱んだ思いも
穢れた自分も全て
風に消えてしまえばいいと
他人事のように思うのです
宙を舞うピンクの花びらは
どこまでも淡く儚くて
虚無感に覆われたままの
なけなしのこの感情が
ほんの少し痛みを覚えて
この痛みを抱えたままなら
きっと生きていけると思うのです
消えてしまいたい思いも
散る花を美しく思うのも
全てが自分であることを
受け入れられると思うのです
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