第80話 空の骨

くすんだ街から逃れるように

辿り着いた見知らぬ路地裏

しゃがみこんで見上げた空には

ぽつんと取り残された月

白くひっそり佇む姿は

まるで忘れ去られた骨のようで

訳もなく泣きたくなった

そんなとある午後の出来事


小刻みに震える人差し指を

そっとこめかみに突き立てれば

想像以上に乾いた音が

冷えた空気を切り裂いた

優しい痛みが感覚を支配する

夕焼け色した血が流れる体

ぼんやり空へと視線をやれば

昼と夜の間に希望の灯が点る

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