第93話 終わりの時を待つ
黒い渦を描く流れの中に
この身を投げる勇気もなく
それでもすべてを終わらせたくて
諦めきれず川沿いにいる
川べりに佇む野良猫に
おまえはいいね、なんて
言ってみたりしても虚しいだけで
ひたすら風に吹かれている
どうせ投げ捨てるコトなんて
出来ないと分かっているのが
どうにも悔しく腹立たしくて
八つ当たりで石を投げ込んで
渦の底に吸い込まれていく
石の残像だけが瞼に残って
打ち捨てられる切なさだけが
この胸に迫ってくる
きっと明日はいいことあるさと
深まる夕闇に語ってみても
そんなこと有り得ないのは
自分が一番分かっていて
どうすることもできず
無意味な現実逃避に
ただこの身を預けたまま
終わりの時を待っている
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