第120話 曖昧な、それでも確実に

立ち込める霧に目を凝らす

見えるのはひどく曖昧な未来

痛むのか、癒やされるのか、

そんなことすら分からずに


剥き出しの今は無防備に

風にさらされ雨に濡れて

細かい傷に覆われながら

滲む血の味を噛みしめている


それでも遠い昔の幼い記憶は

何か柔らかいものに包まれて

届かない胸の奥底に

そっと寝かされているんだ


抱きしめている過去があるから

見えない未来に歩いて行ける

傷はいつか治るから

それをちゃんと知っているから

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