第3話 チロル
その10円分の幸せは
寒がりの心をあたためて
ほんわり滲んだ目元から
昨日の痛みがあふれ出す
あんなにも苦しくて
息すら上手にできなくて
それなのにたった一粒で
ふわっとほどけてしまうから
この小さな魔法を
その手でやさしく握りしめて
不器用な笑顔で
その温もりを感じて
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