第53話 キンモクセイ
立ち止まる私の背中を押すのは
少しの晴れ間とキンモクセイ
風の中ほんのり香る優しさが
そっと手を取り導いてくれるから
また一歩歩ける気がする
道端にこぼれるオレンジ色を
辿ってひっそり歩みを進めて
いつかどこかにたどり着けたら
きっとこの秋のにおいを思い出す
記憶の中ゆらゆら揺れるこの秋を
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