第57話 流れ続けるその時に

流れる時を止めるのは

きっと神様にも不可能で

生きるっていうことは

たぶんその流れに巻かれることだ


でもそれを知っていながらも

どうしても飲み込めなくて

現実に抗おうとするのもまた

人間の性だったりして


帰れないあの頃を悼んでは

道端の花を手向けて

愛しい記憶ばかりを胸に

切り取っては焼き付けて


でもそうやってるうちにも

結局時間は流れ続け

逆らうこともできぬまま

ただ濁流に飲まれていって


気が付けばもうここは

誰も知らなかったはずの未来

今はそれすら過去のものへと

移り変わろうとしている


過ぎていく今にサヨナラ

せめてやさしいキスだけを

今が過去になる瞬間に

その背中にそっと贈って

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