第30話 唄の雨
声にならない声を
形にならない言葉を
すくい上げて唄は
目に見えない雨となり
渇いた心に降り注ぐ
染みこんでいく唄は
まるで荒れた大地に
咲く一輪の花のように
痛みに彩られた記憶を
優しく包み込んで
傷だらけのその体は
やがて静かな愛を知る
そっと頭を撫でるような
ふわりと体を抱きしめるような
決して押し付けではない
ささやかな温もりを知る
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