第55話 秋に沈む

傾く日差しは追う者を拒み

ただひたすらその時を進める

置いていかれまいと

必死に握りしめた手から

夜は次々溢れだし

あたり一面を覆い尽くす


見渡す限り広がるのは

深い闇と静寂で

足音一つ聞こえない

暴力的な静けさは

ただここにあるだけの

存在をひどく否定する


この場所でただ一人

転がり出した闇の中

取り残された手のひらは

もう何も掴めなくて

抜け出した夜の余韻

ひたすら秋に沈む

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