第97話 その弾丸をぶっ放せ
ひどい混沌の中にいるのだと
その人は言うのです
望まないのにもかかわらず
赤や青、白や黒、
様々な色に囚われて
もう何を選べばいいのか
分からないのだと言うのです
だから私はその人の
ゆらゆら揺らめく心臓の
中に腕を突っ込んで
たった一言言うのです
「その弾丸をぶっ放せ」
手には燃えたぎる赤い玉
混沌の中にあっても
消えることのない魂の
その熱を奪えるモノなんて
この世界にはいないから
だからぶっ放せ、弾丸
惑わす混沌などぶち壊し
それでも残るその色を
堂々と選び取ればいいのです
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