第105話 やさしいうた

やさしいうたを書きたいの

さむい夜に差し出される

あたたかなスープみたいな

知らないうちにこり固まった

しこりをそっと解すような

それなのにいつもこの手から

放たれるのはひりひりと

痛むようなことばばかり

あたしの中にあるはずの

やさしいことばは一体どこに

溶けていってしまったのだろう

このままではこの右手が

しんと冷えて凍えてしまう

手からこぼれ落ちていく

ことばもいつか凍ってしまう

やさしいうたを書きたいの

触れれば痛むほど冷えた

心をほどいてしまうような

そんなあたたかなうたを

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