第87話 静寂

こんな寒い日に手袋さえつけず

歩く道は静かで

零れる白い息 凍える指先

何も聞こえない夜


永遠と瞬間の狭間に

取り残されたみたい

見上げた空 光る飛行機が

遠く滲んで見えた


澄んだ空気に震える闇が

ひどく頼りなくて

たぶんこれが孤独なのだと

不意に理解する


輝く星に焦がれながらも

手を伸ばせなくて

立ち込める夜に身を潜めた

静けさが耳に痛い


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