第16話 夕焼け、夜、雨の音
静かに落ちゆく夕焼けは
深い群青を連れてくる
淡く広がるオレンジが
少しずつ夜に溶けはじめ
夏の始めの気怠さも
夜が進むにつれ薄らいで
重く湿った風だけが
昼の残像を思わせる
遠くに響く雷鳴は
どこか郷愁に似ていて
強くなる緑のにおいに
雨の気配を嗅ぎとって
この体にまとわりつく
不毛なまでの思いすら
夕焼けが霧散するように
消えていく日が来るならと
ただここに在るだけの
愛の抜け殻を悼んで
思いが闇に消えていくのを
雨と共に見ている
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