概要
https://www.kadokawa.co.jp/product/321909000576/
第4回カクヨムWeb小説コンテストキャラクター文芸部門大賞受賞
顔よし、からだよし、性格よし。そのうえ読書家。なんだか現実味のないイケメン、熊本くん。仲のよい「わたし」は、同級生から熊本くんの噂を聞く。
どうやら熊本くんが、ゲイ向けアダルトビデオに出演している、というのだ。
webマガジンmonokakiで連載されている、海猫沢めろんさんの『Web小説定点観測』にて、『熊本くんの本棚』を紹介していただきました。
https://monokaki.everystar.jp/review/webnovel/653/
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!イージーライダー
突拍子もないタイトルですみません。
3年程前当サイトで拝読しておりましたが、とある本屋で文庫本として出版されている本作がふと目に留まりました。売れているのでしょうか。多分女性が手に取ることが多いのでしょうが…。
単行本の表紙のイメージからはまるで予想出来ないようなストーリーです。
重く理不尽かつ悲劇的。
しかし不思議なことに読後しばらく残っていた本作の残像はそのような重々しいものではありませんでした。
2丁目の公園で微笑む少年、光り輝く歌舞伎町のネオンの路地裏で裸足でくつろぐダンサー、雑踏の靖国通りを手を繋ぎ駆け抜ける2人、爆音と煌びやかなスポットライトが照らすステージから駆け下りる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!呪縛にもがく青春
さらりと入り込める導入で読み進めるうちにいつの間にか底の見えない沼の中にいる、そんな物凄い吸引力のある作品でした。
登場人物がことごとく闇の中にいて、明確に説明されるまでもなくそれぞれの苦しさが読み手に伝わってきます。
均一した重たい緊張感がずっと続いて行くようなさま、読み手にも同じ緊張感を強いられているような心地になりますが、これが本書を読む快感になり思わず次のページに進んでいます。
少年のうちに理不尽な呪いを受けた熊本君が色んな人間との関わりの中でもがきながらいかにその呪縛と向かい合うのか。
物語の内容の凄まじさと裏腹に、腹の底のドロドロとしたものが淡々と論理的に語られる温度差の妙、そし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひとっておもしろい
人って面白い
とても面白い。
大変参考になり、刺激を受けました。
有難うございます。
何が驚くって、面白さとランキングがまったく関係ないことでしょう。
レビュー少ない、コメント少ない、フォロワー少ない。
実に驚くべきことです。
内容に関係ないランキング。
では、それは一体何を計測しているのでしょうか?
ランキングの有害性をまざまざと見せつけてくれる作品です。
ええ、それでいてキャラクター文芸部門 大賞。
賞って大事ですねと、これでもかとばかりに教えてくれます。
読みそびれたこと間違いなしです。
それと表紙なんですけど。
イラストがとても清潔感あふれていて。
ドバン!と
そこに熊本…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心に深く刺さり語るべき言葉を奪う、傑作。
この小説を読んで、表現するべき言葉に随分と悩みました。
今回、書籍化に併せてカクヨム版も再読をしましたのでそろそろ言葉をひねるべきだろうと。
しかしこれが難しい。
カクヨムコンを勝ち抜き、大賞を勝ち取った本作は寸評をして『きもちわるい』と表現されています。
その気持ちは大いに分かる。読めば凄みに圧倒され、在野に潜むには巨大すぎる才能を感じますが、余りに偽悪的で自分の言葉で語ろうとすると喉に詰まって言葉を塞いでしまうのです。
表現するには余りに難しく、しかし間違いなく面白い。
いずれにせよ私が初めてキタハラという鮮烈な才能を知ってから、ずっと持ち続けている強烈な嫉妬心はやはり間違えていなかっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!見事な作品。まずは10話まででも読んでほしい。
ひとことでいえば「凄いものを読んだ」という感想(身もふたもないな)。
初めは、それぞれ事情を抱え、葛藤して迷いながらのキャンパスライフを描く青春小説を読んでいたはずが、読み進めるうちに「一体俺は何を読んでいるのだ?」と、我に帰らざるを得ない状況に困惑する。
それは「予想を裏切る展開」というお決まりのフレーズではなく「別の何かが侵食してくる」というような感じ。
物語の様相がガラリと変わるというよりは、じわじわと気がつかないうちに姿を変え、変わったものは自分の望んでいたものではないのにそこから抜け出られない。
中盤を職場の昼休憩に読んだのだが、あまりに引き摺りこまれすぎて、休憩後にデスクに戻…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人は綺麗なだけの存在ではない
人との関係を書いている、と思うんですが、小説だけあって、関係は必要以上にめっちゃ毒々しく、めっちゃドロドロドロドロしています。清らかさがどこにもない。本棚くらいか。
人は何らかの形で繋がっている、その形が正なのか悪なのか、清いのか毒々しいなのかは別として。
こんな毒にまみれた関係が普遍的にそこかしこにあるとはちょっと思えない。
……いや、あり得るのかも知れませんが。思えないけどあり得そう。ここのバランスの凄さよ。
この関係性をあえて書くという心気、これぞ文芸そしてキタハラなのでしょう。
全体を通してうごめくドロッドロとした雰囲気は確かにきもちわるいのでしょうね。私はドロッとしてい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!トランス状態の中を彷徨うような——神懸かり的な何かに引きずり込まれる。
この物語を、うまく言葉で説明することができません。
作者自身にもストップをかけられない何かが勝手に言葉になり、ずっと迸り続けているような……何かスピリチュアルなものさえ感じさせる不思議な世界に、有無を言わさず引き込まれます。
主人公である「熊本祥介」くんの歩いた日々。この物語には、自分に降り掛かった運命を直向きに歩く彼の姿が、一糸纏わぬ剥き出しの形で描かれています。
何がいい、何が悪い、という表現では、一切説明ができません。
あるのはただ、熊本くんの歩いた道と、その道のりで彼と人生の交差した人々の姿。
——そうして交わった人たちそれぞれの闇、そして自分自身の闇と真っ向から向き合い、闘う以外…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読み終えた心は梅雨空に見える陽光
凄いと思った。
読者を話の中に引き込む吸引力、展開が読めないにもかかわらず滑らかにストンっと心に落ちる構成力、そして、思わず部屋で一人唸ってしまうほどの圧倒的な文章力。
いやーやばいですね、これ。鳥肌止まりませんよ、これ。なんだか拙い文章でレビューを書くことで、この作品を汚さないか心配になりますよ、これ。
でも、書いちゃいます!書かないと、この浮遊感がおさまりません!
ジャンルは文学……文学ですかぁ……ここまでずっと理系一筋で生きていた私には馴染みのないジャンルなんですよね。
だから、これまであまり読んでこなかったのですが、この作品に出合ってわかりました。
はっきり言います。文学…続きを読む