心に深く刺さり語るべき言葉を奪う、傑作。

この小説を読んで、表現するべき言葉に随分と悩みました。
今回、書籍化に併せてカクヨム版も再読をしましたのでそろそろ言葉をひねるべきだろうと。
しかしこれが難しい。
カクヨムコンを勝ち抜き、大賞を勝ち取った本作は寸評をして『きもちわるい』と表現されています。
その気持ちは大いに分かる。読めば凄みに圧倒され、在野に潜むには巨大すぎる才能を感じますが、余りに偽悪的で自分の言葉で語ろうとすると喉に詰まって言葉を塞いでしまうのです。
表現するには余りに難しく、しかし間違いなく面白い。

いずれにせよ私が初めてキタハラという鮮烈な才能を知ってから、ずっと持ち続けている強烈な嫉妬心はやはり間違えていなかったのだなと胸をなで下ろす次第です。
私はキタハラさんの小説が大好きです。

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