イージーライダー

突拍子もないタイトルですみません。

3年程前当サイトで拝読しておりましたが、とある本屋で文庫本として出版されている本作がふと目に留まりました。売れているのでしょうか。多分女性が手に取ることが多いのでしょうが…。

単行本の表紙のイメージからはまるで予想出来ないようなストーリーです。
重く理不尽かつ悲劇的。

しかし不思議なことに読後しばらく残っていた本作の残像はそのような重々しいものではありませんでした。

2丁目の公園で微笑む少年、光り輝く歌舞伎町のネオンの路地裏で裸足でくつろぐダンサー、雑踏の靖国通りを手を繋ぎ駆け抜ける2人、爆音と煌びやかなスポットライトが照らすステージから駆け下りるタクミ、先生の腕をつかみ走り出す熊本君…。

自らの生を、性を、自分らしく生きようとした若者たち、汗と力強い肉体、その息遣いがリアリティーと幻想的な色彩感の中で活き活きと脳内に残り続けました。

本当に表現するのが難しい作品なのですが、その独特な読後感はアメリカンニューシネマを見終わった後の印象と親和性があると言えるかな、ああそんな感じだ、と最近気付いた次第です。

鮮やかで力強い若者たちの生への力感、幻想性、そして理不尽な悲劇。その光と影。

イージーライダー。

本作共々名作だと思います。





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