ぜひ、読んで欲しい。本作だけでなく、どの作品にも共通する美しく読みやすい文章は、作者様の筆力の高さを物語っている。どんなテーマも見事な筆致で書き上げ、思わず唸るラストへと導く手腕。ぜひ、読んで体感して欲しいと切に願う。
パンドラの箱を開け、取り出した多くの人々が躊躇するアンタッチャブルなテーマと対峙し、怯むことなくストーリーを紡ぐ。前作スシプロに於いては日韓問題と交差する人々を。また二人称本作に於いては流行りの「転生もの」そのもの自体を。作者のクリティカル・スピリットを根底に、アイロニーとユーモアを交え情感豊かなレトリックを駆使し独自の世界観を構築する作風は180度異質と一見思われる前作スシプロとも相通ずるものである。終章に於いて確かに希望がそこにあると感じられる部分も。
重厚な本格ファンタジーとして始まる短編。迫力があり、確かな文章力で進んでいく。いわゆるお姫様を助け出す勇者が登場する典型的な英雄伝なわけだが、しかし、そこで終わらないのが本作。みんな、勇者なのさ。
流麗な文章と疾走感で、あっという間に物語の世界に引き込まれます。静と動の対比が見事。そして結末は――。
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