「LGBT」というレッテルを貼られて。

作者 千石杏香

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★★★ Excellent!!!

私はバイセクシャル(両性愛者)の女性です。当事者ですがLGBT法案には強く反対しています。
LGBT法案や女子トイレがオールジェンダートイレに変わってしまう問題で混乱している人は、とりあえずこの作品を読むところからオススメします。

ついでに私はミッション系スクール出身なので、聖書に何が書いてあってキリスト教徒が何を信じて生きているかは昔から知っています。
(※私がキリスト教徒という訳ではない)
おそらく一般人の殆どは「差別をなくそうというのはいいことなんじゃないの?なぜ当事者なのに法案に反対するの?」
「差別やいじめって日本にも絶対あるでしょ?」
と思っていて、なぜ当事者同士で意見が割れているのか混乱なさっているんじゃないでしょうか?
それを説明するためには、まずは聖書の内容を知ってもらう必要があります。
聖書に記されている「神の言葉」がどれだけキリスト教圏の人々の内面に、生き方に、強く影響を及ぼしているのか
その結果日本人とは何がどう異なるのか、というところから理解できていないとあらゆる前提が食い違ってしまうのです。

このエッセイではそのキリスト教のことも含めて日本と他国の土壌の違いにしっかり言及されており
なぜ私たち日本の当事者はキリスト教圏で生まれた「LGBT運動」を必要として来なかったのか。いうことも分かりやすく書かれています。
しかも無駄のない簡潔な文体で誰もが読みやすい。
是非たくさんの人に読んでもらいたいです。

また、私たち当事者も正確に知る必要があることです。
日本においても様々な形での差別・偏見は(性的少数者へのそれに限らず)存在するけれど、キリスト教圏のように「お前たちは罪人だ」と宗教から名指しされることによって一般の人々からも迫害されているという社会構造ではないのだと。

キリスト教圏における「LGBT運動」「法案成立」は宗教との戦いであり、人… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

虹旗運動の実態を熱心に書き綴った作品です。著者本人の見解のみならず、他の当事者への聞き込み、欧米の現状などを丁寧に扱ってをり、脱帽します。

ただ少し情報量が多く、手軽に読むには重いと思ひますので、次の章節の気になるところから読まれることを御勧めします。

▼第3章-1. 「LGBT」=レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーのことではない。
https://kakuyomu.jp/works/16816927860040342257/episodes/16816927860131765727
彼等は初めから名前を乗っ取る集団でした。

▼第8章 「生産性がない」? 杉田論文を読み返す。
https://kakuyomu.jp/works/16816927860040342257/episodes/16816927862350943931
誰もが聞いたことのある杉田水脈の件を通じて、LGBT活動家の不合理性を確認しませう。

▼第9章-5. 女装男を女性と言わなければ差別。
https://kakuyomu.jp/works/16816927860040342257/episodes/16816927862708841913
「性自認主義」の危険性について語ってゐます。続く第10章「女装男が女湯に入っても合法になる日。」にて、LGBT先進国での具体的な事例が紹介されてゐますので、そちらも是非。

▼第14章-2. おぞましすぎるトランス医療。
https://kakuyomu.jp/works/16816927860040342257/episodes/16817139555763846431
日本には「生娘をシャブ漬け戦略」と云ふ冗談を言っただけで「重大な女性差別」と糾弾され、職を追はれてしまった人が居ますが、トランス医療が文字通りのそれであることを告発し… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

知識不足。そこに気づかされた。諸外国は気づいている。もしくは、もうすでに問題となっている。

カクヨム内でしっかりとした「LGBTQ…」を扱う作者は二人目になる。数の少なさを問題提起するわけではない。その点においては、ただ単に私の読書量が少ないだけなのかもしれない。

一人目はセクシャルマイノリティをポジティブに捉える救いのある作品。そして、今回はマイノリティを俯瞰して捉える「学びの作品」だと感じた。

ここは逃げも隠れもせずに、私もカクヨム内で「LGBT」を扱った作品を描いた事がある。たぶん、私はマジョリティ側の人間だろう。そんな人間の描く作品はエンタメ性に比重が偏り実がない。

自分の作品はさておき、この作品の実の部分は「LGBT」ではなく「人間」にある。マイノリティを中心とした人間性。その所作とその歴史に対する考えを、現代にまで遡り思考することにある。知り得るとは、こういうことかと、痛感させられた。

私は未だ井の中の蛙の子。我々オタマジャクシが大海を知るために、この作品は、その一歩を記してくれている。そして、さらに……受け入れられるか?否か?を問うている。実にフレキシブルであり、学びのある作品だった。

★★★ Excellent!!!

千石さんの視座はとても安定していて、読みやすい。誰かに特別肩入れするでもなく、誰かを切り捨てる様なこともせず。こういった書き手はとても貴重で稀有であると思う。
また、千石さんらしい文体の癖も魅力的だ。漢字で表現してカタカナ語でルビを振るのが全体としてくどくならず、分かりやすくさらっとしていて良い。
素晴らしいドキュメンタリーです。個人的にTwitterのスペースを利用したインタビューが面白い試みだなと感じました。
これからも楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

LBGTというレッテル。

自分は少し前までこの4種類だけというかなり頭の固い知識しかなかった。

だから自分がセクシャルマイノリティである事にも気付かなかった。

強いて言えばT、トランスジェンダーなのであるが、言葉に出来ない違和感があった。


その後、これ以外にもセクシャルマイノリティには色々ある事を知った。よりしっくり来るカテゴリーがK、「キンキー」というカテゴリー。

これもいわば一つのレッテルなのだが、自分はそのレッテルを貼られる事になぜか安心感があったのだ。

なぜなら今までは世界中に自分のようなセクシャリティの人間は自分だけ、あるいは極めて少数だと思い込んでいたからだ。

レッテルがある事で、LBGT並みとは言わないまでも、それなりに同志は居るのだと分かって嬉しかった。

レッテルを貼られる事をどう捉えるか、これだって様々だと思う。

ここまで深くセクシャルマイノリティを描いた作品は少ない。

自分ももっと勉強して書けるようになりたいと思った。

★★★ Excellent!!!

自分は普通の高校生です。
テレビや新聞や、ネットのニュースでLGBTという言葉はよく聞きました。
社会の流れ的に、ああそうなんだなと思い、受け入れていこうとも思いました。
けど、このノンフィクションを読んで、もう一度LGBTについて考えさせられました。
どの章も分かりやすく、いろいろな視点で書かれていて、その視点を学ぶことが出来ました。

ここから自論になってしまうのですが、LGBTの問題はすごく難しく思います。
きっと解決するのも難しいでしょうし、なんなら解決することも不可能かもしれないです。
個人的に、男性とか女性とかいろいろ区別をしてしまうことで差別を生むのかとも思います。
社会常識や一般論も、いろんな人が自由に生きるのを邪魔している気もします。
いろんな人全員が、自由に生きることは難しいのでしょうか。

長々とレビュー失礼しました。
素敵な小説をありがとうございます。これからも考えながら読ませていただきます。

★★★ Excellent!!!

性的少数者に関する問題に、ご自身も性的少数者である作者さまが自らの体験や見聞を交えつつ、さまざまな角度から切り込んでいくエッセイです。

性自認や性的嗜好が多数派から外れたところにある場合どんなアイデンティティを持つのかという、個人の視点。
最近よく耳にする「LGBT(Q)」という言葉の背後にある、政治的な問題。
同性婚にまつわる、法律の問題。
同性カップルが子供を持つことに関する、統計を用いた社会学的な見解。
そして文化や歴史の中にある同性愛者の存在についてのお話。

どの章も大変読み応えがあり、これらの問題に対しての情報解像度が格段に上がりました。

『多様性』の時代だと口で言うのは簡単ですが、セクシャルマイノリティのことを知れば知るほど、非常に複雑で難しい問題が山積しているのだと実感します。

一つ確実に言えるとしたら、作者である千石杏香さんはどんな型にも当てはめられない唯一無二の方であり、私は杏香さんの書かれるものを今後も読みたいということです。
これからも更新を楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

「俺がつい最近、チト疑問に思ってた事が有る。」

とある零細出版社主催の懸賞短編小説募集。其れは落語で良く観る様な、『お題』に対しての返答短編小説の投稿。

お題は確か『二穴』?だったと思う。
俺はその手の懸賞モンには全く興味は無いし、出す気も無い。
だがしかし、その『二穴』?と云うお題に対して、カナリの割合で『男同士の恋愛』だとか、『両刀使いの男』又は『女』を素材にした作品が多く目立ったのは知っている。

確率で云うと、その懸賞に投稿している作家達全てが、その様な性的嗜好者である訳が無い。


俺のご主人が営む『宇宙書店』の常連さんの地球人読者兼作家の作品の中にも、それらしいのが幾つも有った。
其れ等の短編を読んで俺は『有難う』と感想文を描いて、更に☆☆☆送ってやった。

その『有難う』には自身の実体験や、その性的嗜好性を告白してくれた事に対しての感謝の意が込められている。
だがしかし、彼等が本当にその性的嗜好者で有る保証は無い。非常に眉唾物モノだ。


「杏香ちゃん。定めし、貴方の存在は本物だと思う。俺は生まれて来てから現在に至る迄、この手の問題がここまで大きく表面化する以前から、どうでも良い事だと思っていた。
だって別に気にする問題では無いだろ?
誰かが気にし出して、事がここまで大きくなった。」


哀しいかな、人間とは他者を差別や卑下する事で優越感を覚えるし、逆に差別を自身に課して、悲壮感を味わう弱者も居る。

人類が残る限り、差別は無くなる事はナイ。だから声を上げない。
だから行動に移さない。

それは大きな間違い。
杏香ちゃんが声を上げる事で、問題に関心を持つ人間も増える事も事実。その差別と一緒に皆が共存する未来がやって来るかも知れない.. 。


「だからこれからも続けてね?」

因みに、今回の☆☆☆に対しての、ウチの『宇宙書店』の取り扱い書籍に、おざなりな… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

僕は興味本位で読んだ。面白いと感じ15話を一気に読んだ。
心を動かされ変容した…と言ったら半分は嘘になる。心は動かされ作者の主張には共感した。だが変容したかどうかはわからない。混乱しただけだ。
この"ノンフィクション"を是非読んで欲しい。
作者は第9話で、「確認しておかなければならないことがある。それは、私は何者かということだ」と書いている。
僕が皆さんにこの"ノンフィクション"をお勧めする理由はこれである。
耳障りのいい声(第15話)に惑わされ、自分自身と彼、彼女の真実への確認を止めるべきではない。僕もそう思う。

★★★ Excellent!!!

多分なのですが、多様性と言う捉え方にも人それぞれの思惑がありますね。
米国で始まった運動から法律や名称が出来ているのは薄々判ります。
ありのままの自分達が受け入れられていないことも社会の問題の一因だと思います。
私事ですが、自分も統合失調症を抱えております。
やはり理解してくれない方々も大勢います。その為に貧困に喘いでいます。仕事上、病を持つとどうしても面接まで行けないことも多くて。辛くて辛くて自死未遂にまで行ったこともあります。その遠因は自分の親友が鬱で自死したことにありました。
ただ、自分を支えて下さった方々もいるのも事実です。
法律のしがらみなど関係なく今のありたいと言う自分を生きれれば幸いです。
願わくは世の人全てがそうであります様に。

★★★ Excellent!!!

初めて共感出来るものに出会えました。
私もBLネタを茶化している小説を書いております。
ただしそれは、後書きにも書いてますが、普通に男の子が可愛いと思った時が何度か、あったからです。
特に悩みもしなかったし、夢の中でお袋とセックスしてしまいそうになるのと同じ、チョットやばい感覚でした。
だから、同性愛の人はみんな悩んだりしてるのかと、ずっと違和感を持っていました。
このサイトで色々な文章に出会えて幸せです。
思想的なものは何も無い私なので偉そうなことは言えませんが。
そう言えば、好きな映画で「ガープの世界」は上位ですね。
機会があれば、お勧めです。
長々と拙文、失礼しました。