第38話 依頼
「協会からの正式な依頼があるから、ちょっと話し合いにきてくれない?」
こんな連絡が入ったので学校の帰りにウサギ小屋に立ち寄ることにした。
「こんにちわー」
「あ、ごめんね急に呼び出して、ちょっとこれ読んで」
そう言って渡された紙には、今回の概要が書かれていた。
依頼書
麒麟のテイム支援
1回目:人数 3 費用1億円 うち50%を報酬額とする
2回目:人数 3 費用8千万 同上
3回目:人数 3 費用6千万 同上
4回目:人数 3 費用4千万 同上
5回目:人数 3 費用2千万 同上
6回目:人数 3 費用1千万 同上
7回目:人数 3 費用500万 同上
以上、望む回数までを継続して施行する。
「なんでだんだん安くなるんですか?」
「これで麒麟をテイムした人にも同じ仕事についてもらう為ね、金額などの報酬はグッと少なくなるけどね」
「最初から安くしないんですか?」
「そんな事したら人で溢れ返って収集つかなくなるわ」
「でも、勝手にテイムする人ととか出るんじゃ?」
「あのダンジョンは完全に協会の管理下に置くんですって。
それで、500万まで落ち着いたら、今後はどのモンスターテイムするにしてもここに入るには500万かかるようにする事に決まったんですって」
「残りは500万払って集めろって感じですか?」
「いえ、1体テイムしたら強制的に出て貰うようになるって話よ」
「5体欲しければ2500万払えと」
「そういう事ね」
「これいつからやれば良いですか?」
「そちらの都合に合わせるわ」
「え、そんなに簡単に人集まるもんなんですか?」
「むしろ逆よ、要望が多すぎて協会が重い腰上げたって感じね。
その代わりきっちりお金稼ごうってのが協会の意向なんじゃない?」
「なるほどねー、クリスタルダンジョン行きたかったんだけどなぁ。
来週から夏休み入るんで、さっさと終わらせたいんで、来週の休みから7日間で良いですか?」
「あら、全部行ってくれるの?」
「はい、なんか半端ってのも気分的にモヤモヤするんで、やるなら全部やります」
「ありがとう、助かるー!じゃあ、それで連絡しちゃうね」
「はいお願いします」
依頼日当日。
恵ちゃんと朱里ちゃんの2人とも合流したのでサファリダンジョンの受け付けの人に挨拶に行く事にした。
「おはようございます」
ショートカットの人当たりの良さそうなお姉さんが対応してくれた。
「あ、おはようございます。
本日担当させていただきます、遠藤沙雪と申します。
あ、ダンジョン内で何かあった時の連絡用のレシーバー渡しておきますね。
特別製なんで無くさないでくださいね」
「あ、ありがとうございます」
恵ちゃんに渡しておいた。
「今日来てる方とトラブルになりそうでしたら、すぐ連絡ください」
「なんかトラブル起こりそうな言い方ですね」
「私からは何も言えないんですが、あ、スマホの録画機能はすぐ使えるようにしておいてくださいね」
明らかに、厄介な人いるでしょ。
うわぁ、やだなぁ。
若干テンション落としながらゲート前まで移動すると、今日の参加者が8名居た。
…あれ?8名?多すぎじゃない。
しかも、なんか揉めてるし。
「どうしたんですか?何かあったんですか?」
沙雪さんが事態の収拾を図る。
「こいつらが、先に行かせろってうるさいんだよ」
「我らの方が人数が多いんだから、先に終わらせた方が合理的であろう」
いかつい戦士っぽい人がそう言った。
我らとか、あろうとか、初めて聞いたよ。
痛い人なんだろうか?
「勝手に付いてきてるだけだろう!テイマー1人いれば充分なのに余計なの付いてきて、なに偉そうに言ってるんだよ!」
確かにその通り。
「順番は変えられません、規約にも載っておりますし守れない場合は罰則金として全額没収して今回の契約自体なかったことになりますよ?」
沙雪さんが毅然とした態度でそういう。
「貴様!この方をどなたと心得ておる!」
なにこの天下の副将軍みたいなノリ?
「はい、
「偉い人なの?」
全然ピンと来ないから、恵ちゃんに聞いてみた。
「ダンジョン用の装備の有名なメーカーやで。
主に戦士用の重装備やから、うちらじゃ使う事ないやろうけど」
ふーん
「どなたであろうと、規約を破れば罰則があります。
例外はありません」
「この女ぁ!」
戦士風の人が激昂仕掛けた時に、後ろの気弱そうで不健康そうで、ガリガリのヒョロヒョロの中背の男子が手を挙げた。
「僕の為を思ってくれているんだろうけど、その辺にしておいて、ここで時間かけても仕方がないから」
「坊ちゃんは黙っててください!」
なんか、この戦士風の男偉そうだなぁ。
ダンジョンで不慮の事故起こってもしらねぇぞ。
ちょっとトラブルあったけど、とりあえず順番通りに依頼をこなす事になった。
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