第51話 スライムダンジョン 1

 予定通り、スライムダンジョン1階層のメンバーとの待ち合わせ場所に来た。


 俺の場合、少し待ち合わせ時間より早くきてしまう癖があるんだけど、すでに光莉ちゃんが来てた。


 彼女の見た目は、グレーのスウェットに、下は赤いおそらく学校指定っぽいジャージ、髪は肩口くらいありそうだけど、後ろに縛ってあるので正確には分からない。

 ポニーテールっていうより、邪魔だから後ろに束ねたって感じ。


 もう、見るからにザ・ニートもしくは廃人ゲーマー、今もずっとスマホ弄ってるし。


 顔とスタイルだけで言えばアイドルでもおかしくないポテンシャル持ってる。

 というか、最近よく見る低テンションのニート系アイドルやゲーマーアイドルとしてならこのままいけるんじゃなかろうか。


 垢抜けるとめっちゃ綺麗になったって言われるタイプだね。


 磨けば光る、ヒカリちゃんね。

 覚えやすい!


「早いねぇ」


「最初なんで気合い入れて来たっす!それで?ウサちゃん達は?


 あ、そこね、目当て。

 うん、知ってた。


「ここに居るよ」

 そう言って強い分の左腕についている腕輪を指差す。


 ソロモンの腕輪(5柱)

 レベルの10%までを基準値とし、その分を制限数の対象から外す。

 5体までを柱に指名し腕輪に収納出来る。(テイマー専用)

 指名されたテイムモンスターは全ての能力を10%強化する。


 早速、ノバ、パル、ドン、ピノを指名した。

 可能なら恵ちゃんも指名したかったけど、やっぱりテイムモンスターしか指名出来なかった。

 一応こっそり試してはみた。


「あのー誰か出してもらう訳にはいかないっすか?」

 めっちゃ、懇願の目をしてる。


「…ノバ!」

 ひと言かけると腕輪からノバが飛び出してくる。


「ノバちゃーーーーーん」

 多分この子このまま動かないんじゃなかろうか。


 まぁ、良いけど。


「すいません、遅れました」

 健二がやって来た。


「あ、いや待ち合わせ時間までまだ何分かあるから大丈夫、遅れてないよ」


「おはよーさん」

「恵ちゃんおはよう」

 ん!何かジーって見られてる。

 えーっと…。


「パル」

「パルちゃーーーーーーーん」


 ノバを愛でてる光莉ちゃんが羨ましかったのね。


 10分後


「朱里ちゃんが待ち合わせに遅れるって珍しいな」

 ボソッと俺が呟いたら、ちょうどタイミング良く朱里ちゃんから通知が来た。


 ー少し遅れますー


 あ、遅れるのか


 5分後


 ーごめんなさい、今向かってますー


 更に5分後


 ー本当にすいません、もう少し待ってくださいー


 更に5分後


 ー最寄駅まで来ました。本当にごめんなさいー


 更に5分後


「ほらぁ!皆んなに迷惑かかってるんですから、もう帰って下さい!」

 まぁまぁ離れてるけど、丸聞こえな朱里ちゃんの声が聞こえて来た。


「お前がオーブ使ってもうたから困っとるんやないか!少しは協力するように言いや!」

 どこかで聞いた声だな?


「おはよう、原因はその人っぽいね」


「そうなんですよ!本当に御免なさい!ずっと付き纏って来てぇ、全然離れてくれないんです!」


「今度はなにしたいんですか?」


「ちょっとオーブ取るの手伝ってくれるの、アンタに頼んで貰おうと思っただけや」


「それなら直接言えば良いのに」


「あんた頑固やからな、仲間のお願いの方が効果あるやろ」


「それここで言っちゃダメじゃん」


「は!しまった!クソ」


「どっちにしろウチじゃ力不足で手伝うの無理ですよ」


「ワイが鍛えちゃる!」

 いらねー。


「そういうのは間に合ってます」


「ほな、試練の洞窟連れてったるわ!それと交換でどや!」

 ん、話が変わった。


「それはちょっと魅力的だな」


「せやろ?」


「どっちにしろこのダンジョンクリアしてその後少しレベリングしてから話だけどそれで良い?」


「かまわんで、それでええわほなまた連絡するわ」

 連絡先交換しないで帰っていったけど、どうやって連絡するつもりだろう?


 …よし!切り替えて行こう!


「よろしくね、ゴブゴブさんは都合つかなくて今日は来れないって言ってたからこのメンバーで行こう。

 今日の作戦なんだけど、20階までは最短距離で積極的には戦闘しない、途中遭遇したスライムは、光莉ちゃんが攻撃、朱里ちゃんがトドメで他の人は攻撃しない。

 20階は遭遇しても無視してスマイル探索、それでトレインする事になるだろうけど、相手してたらキリないから放置で行きます。

 じゃあ、出発!」

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