第40話 対人戦
やっぱり殺人はまずいかなぁ。
なんか、その一線を越えちゃうと歯止めが効かなくなりそうな、そんな予感がする。
思い直してテイムモンスター達にも、出来るだけ殺さないように無力化してほしいとの要望を伝えた。
あ、1番ヤバい人に伝えなきゃ!
「恵ちゃん、殺しちゃダメだよ」
小声で伝える。
「えーーー」
あ、やっぱりヤル気だった。
一応、恵比寿って探索者の事をネットで調べたけどヤバい噂だらけだったもんなぁ。
うちの子達は賢いから、こっちの要望伝えれば上手いことやってくれると思うけど、恵ちゃんには一抹の不安を覚える。
相手は、戦士、盾使い、弓使い、魔法使い、斥候な感じに見える。
必ずしも見た目とクラスが一致してるとは限らないし、派生クラスに変更してる人もいるかもしれないので、断定は出来ないけど、そこまで深読みしなくても大丈夫かな。
戦闘が始まる。
朱里ちゃんはスマホで動画を撮る係を続行するようで戦闘に参加する気はないっぽい。
ノバは戦士風の男に向かって行った。
状態異常は抵抗出来たみたいだけど、デバフは全部のっかったみたい。
完全に守りに入っているけど、徐々に削られているようだ。
パルとピノはタッグを組んで、相手の魔法使いと盾使いを相手にしている。
パルがいつもより少ない量の針を空中に出してわざとに1拍置く、それを防ごうと魔法使いがファイアーウォールを出す。
ピノが水魔法でファイアーウォールを相殺する、パルの針を防ぐために盾使いが魔法使いをかばう。
その隙に魔法使いにピノが接近する、そこに無理矢理盾使いが割り込む。
パルが針を出す。
以下ループ
盾使いが明らかにスキルを使って魔法使いを守っているので、最終的にMPが枯渇して動けなくなるだろう。
ドンが弓使いの射線を防いだり、斥候の攻撃を防いでいる。
動画に映らないようにしながら、恵ちゃんがサポートしてるんだけど、さりげなさすぎて俺以外誰も気づいていない。
「おい!坊ちゃん!お前もモンスターを出して戦え!」
戦士風の男が叫ぶ。
余裕無さそうだなぁ。
なんか、言い方が手下かなんかに言うような感じだな。
もしかして、このご子息様って便利に使われている?
「あ、う、うん」
出してきたのが、テイムしたばかりの青龍、ゴブリンアーチャー、ハウンドウルフ、メガロック。
青龍以外は全部ランク3のモンスターだ。
ゴブリンアーチャーはその名の通り、弓を使うゴブリン。
ハウンドウルフは、猟犬型の狼なんだけど、見た目は垂れ耳の愛玩動物に見える。
ステータス的にはそこそこ強いんだけどね。
メガロックは爆発岩系のモンスター、ある程度ダメージ与えると、爆発して外装が剥げる。
中から小さいおじさんみたいなの出てきて、近くの岩を自分に貼り付ける。
……え?弱くね?
盾役にメガロック、接近戦のハウンドウルフ、後方のゴブリンアーチャーで、バランスはいいけど…。
1体1体の能力が弱い。
正直、このダンジョンで戦えるレベルじゃない。
あーだから護衛居るのか、でも、護衛のせいで人数制限引っかかって経験値全然入らないから結局レベル上がらないって負のスパイラルに完全に入ってるよね。
そして、出てきたモンスターの相手だけど。
「パル!」
声かけた瞬間金遁の針が相手のテイムモンスターに降り注いだ。
一瞬で殲滅してしまった。
格下掃討には最強じゃないかな、あの技
「あああ!僕のモンスターが!」
ご子息様が嘆いてらっしゃる。
そりゃそうだよね、テイムしたモンスターが倒された場合、それを復活する手段は無い。
あるかもしれないけど、発見されてないから、そんな仮定は意味がない。
テイムモンスターが倒されるって、他の人は思ってる以上にクるものが、あるんだよなぁ。
ちょっと可哀想になる。
そして、ここからはただの制圧戦。
特にイレギュラーもなく、相手を制圧した。
ご子息様は抵抗すらしなかった。
テイムモンスターのいないテイマーなんて、お湯の入ってないお風呂みたいなもの、なんの価値も無いしなぁ。
「貴様ら!こんな事してタダで済むと思ってるのか!」
腕の骨折られてるのに元気だねこの人。
全員、なぜか恵ちゃんが持っていた頑丈な縄で拘束している。
不意をついて抵抗しようとした戦士風の人は、ノバにボッキリ手の骨を折られている。
「証拠画像もありますし、あらかじめ協会に連絡もいれているので、問題ないですよ」
朱里ちゃんがニッコリ笑ってそう言い返す。
笑顔なのになんか怖い。
「えーっと、このまま大人しく一緒に帰っていただけるなら足の拘束を解除します。
嫌ならここに置いていきます。
途中で逃走したり抵抗する場合は足の骨を折った上で、手首と足首をウチの子に噛みちぎってもらいます」
ここまで話したら、戦士風の人以外の人はガタガタ震え出した。
おかしい?逃げ出そうとしなければ何もしないって言ってるのに。
まるで、隙を見て逃げ出そうとしてたみたいじゃないか。
全員、引き連れて入り口まで戻る事にした。
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